耳鳴り(耳鳴)
周りでは全く音がしていないのに、自分には音が聞こえる現象を「耳鳴り」といいます。人により異なりますが、圧倒的に多いのが「キーン」「ジーン」といった音が聞こえるというものです。10秒くらいの一過性の耳鳴りは誰にでもよくあることなので心配いりません。
耳鳴りが起こる仕組みについてはまだよく分かっていませんが、難聴を伴うケースが非常に多いという特徴があります。聴力検査を行うと、およそ80%の人に耳鳴りのする側の耳に難聴が認められます。このような場合、、メニエール病や突発性難聴など、内耳に何らかの原因があることがあります。また、耳垢栓塞や中耳炎など、外耳や中耳の異常が原因になることもあります。
難聴を伴わない場合は、耳以外の原因を考える必要があります。更年期障害や高血圧、低血圧、高脂血症などから耳鳴りが起こる場合もありますし、心因性の場合もあります。
もう一つ耳鳴りの原因として注意したいのが「聴神経腫瘍」です。聴神経腫瘍では片側の耳鳴りが初期症状として起こることがあります。特に中高年の型で片方だけの耳鳴りが2~3ヶ月続く場合は、耳鼻咽喉科で詳しい検査を受けてください。
耳鳴りの検査
耳鳴りのほとんどは自覚的な症状ですから、問診や検査で症状を客観的に把握していきます。
検査は、まず問診を行い、左右どちらの耳か、音質、音の高低、音の大きさなどをしらべます。また聴力検査をおこない難聴の有無を確認します。ピッチ・マッチ検査で耳鳴りの音の高さを調べます。、ラウドネス・バランス検査では耳鳴りの音の強さを調べ実際の音と耳鳴りがどの強さに近いかを判定します。
そのほか、内耳の病気や聴神経腫瘍が疑われる場合は画像検査など、さらに詳しい検査を行います。
耳鳴りの治療と対処法
耳鳴りは様々な治療法が試みられていますが、完治が難しい病気です。決定的な治療法がないことから、さまざまな治療法が試みられているのが実情です。主な治療法としては薬物療法(ビタミン剤、筋弛緩剤、代謝改善薬、抗不安薬、耳鳴緩和薬など)で様子を見ます。難聴と同様2週間以内の発症であれば血流改善剤の点滴、星状神経節ブロック、そして、ステロイド、血流改善剤の内服が非常に効果があります。耳鳴(耳鳴り)
他にマスカ―療法(耳鳴りよりも大きな音を3~5分聞くと一時的に耳鳴りが消えるという現象を利用した治療法-保険適用外)や心理療法などを行います。
また睡眠不足、過労、ストレスなどは耳鳴りの悪化要因になるので注意が必要です。日ごろから十分な睡眠をとり、過労を避けるよう心掛けましょう。また、音楽を聴く、スポーツをするなど、自分なりのストレス解消法を見つけておくことも大切です。
耳鳴り、めまい、難聴を引き起こす病気
メニエール病、突発性難聴、老人性難聴、前庭神経炎、外リンパ瘻、外耳の病気(耳垢栓塞、耳性帯状疱疹)、中耳炎(急性化膿性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、などがあります。
耳鳴りの原因となる病気には脳出血、脳こうそく、一過性脳虚血発作、脳腫瘍、椎骨脳低動脈循環不全などもあります。
耳鳴りを自覚したら、恐れず騒がず、でも迅速に専門医に相談して下さい。詳しい問診の後に十分な検査を受けてください。その上で、治療することをおすすめします。
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