最近の気になるニュース
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帯状疱疹ワクチン4月から定期接種
65歳対象 経過措置も
厚生労働省は、皮膚に痛みを伴う発疹ができる帯状疱疹のワクチンの定期接種を65歳の人らに4月から始める方針を決めた。60~64歳のエイズウイルス(HIV)による免疫機能に障害がある人も対象。65歳を超えた人も節目の年で摂取できるようにする。
5年の経過措置期間を設け、70、75、80、85、90、95、100歳の人も接種対象に追加。100歳以上の人は2025年に限り全員対象とする。
定期接種には阪大微生物病研究会の生ワクチンと、英グラクソ・スミスクラインの不活性ワクチンを使う。免疫機能障害者は不活化しか使えない。自己負担額は自治体によって異なるが、多くの場合生ワクチンは数千円、不活化ワクチンは数万円になる見込み。効果や持続性は不活化でより高い値が報告されている。 -
パーキンソン病患者 脳内で歩行障害補う
薬物治療の可能性を京都大学のチームが解明
パーキンソン病患者の歩行障害を補う脳内のネットワークの一端を解明したと、京都大のチームが発表した。歩行障害に対する薬物治療などの開発につながる可能性があるという。論文が国際科学誌に掲載された。パーキンソン病は、脳の深部にある「線条体」で神経伝達物質が不足し、徐々に歩行に難しさを感じるようになる。一方、認知機能に関わる大脳の前頭葉や頭頂葉が線条体の役割を代替し、良好に歩けるケースがあることが知られているが、その仕組みはよくわかっていなかった。
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若年発症大腸がん、主な原因は赤肉か
近年、50歳以下で大腸がんを発症する若年発症大腸がん患者が増加傾向にあるが、赤肉や加工肉がその主な原因である可能性があるようだ。代謝産物と腸内微生物叢のデータ分析から、食事由来、中でも赤肉や加工肉に関連する代謝産物が若年発症大腸がんリスクの主な要因である可能性が示された。米クリーブランドクリニックのNaseer Sangwan氏らによる研究の詳細が、「NPJ Precision Oncology」に7月17日掲載された。
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揮発次亜塩素酸水、A群溶血性レンサ球菌99%除菌
約25立方メートルの空間で60分間検証パナソニック空質空調社は、空気中に揮発した次亜塩素酸水溶液の有効塩素成分がA群溶血レンサ球菌を99%以上除菌する効果を確認したと発表した。約25立方メートルの空間で60分間の検証を行った。A群溶血性レンサ球菌は飛沫(ひまつ)感染や直接接触を通じて広がり、さまざまな感染症を引き起こすリスクがある。今回の検証結果により、次亜塩素酸水溶液から揮発した有効成分がテーブルや手すりなどに付着したA群溶血性レンサ球菌を除菌する効果が期待できる。
次亜塩素酸水溶液は食塩水を電気分解することで生成され、除菌、脱臭に高い効果がある。近年ではインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスオミクロン株、手足口病やヘルパンギーナの原因となるエンテロウイルスおよびコクサッキーウイルスなどについて、抑制する効果があることを確認している。
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水道水の2割でPFAS検出
発がん性が懸念される有機フッ素化合物(PFAS)が全国で検出されている問題を巡り、環境省と国土交通省は29日、水道水の全国調査結果を公表した。2024年度に富山県を除く46都道府県の332水道事業でPFASが検出された。検査を実施した全国1745水道事業の2割に相当する。PFASに特化し、小規模事業者にも対象を拡大した大規模調査は初めて。
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動物の臓器を重症患者へ
動物の臓器を重い病気の患者に移植する「異種移植」。近年、海外での実施報告が相次ぎ、国内でも複数の医療機関が臨床研究を計画している。医学界や国は、安全性を確保するためのルール整備の議論を本格化させている。
ゲノム編集で免疫抑制
「異種移植はもはや夢の医療戦略ではなく、現実性のある選択肢になりえる段階だ」。今月9日、愛知県で開かれた日本臓器保存生物医学会の学術集会で、米ジョンズ・ホプキンス大の山田和彦教授(外科)は、こう力を込めた。
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抗うつ薬 くも膜下出血を防ぐ? 動脈瘤の拡大を抑える効果
読売新聞 10月27日 より
抗うつ薬を服用している人は脳血管にできるこぶが大きくなりにくく、くも膜下出血の発症を防ぐ可能性があると、国立病院機構京都医療センターなどのチームが発表した。くも膜下出血の予防薬として応用できないか検討するという。国際専門誌に論文が掲載された。
くも膜下出血は、脳の動脈に生じたこぶ「脳動脈瘤」が破裂する脳卒中の一種。国内で年間3万人が発症し、約7割が死亡するか、意識障害などの重い後遺症が残る。川端信司・大阪医科薬科大准教授(脳神経学科)の話
動物研究で知られていることを、人の臨床データで裏付けた意義は大きい。抗うつ薬の成分を分析し、脳動脈瘤により効果のある新薬の開発も期待したい。 -
ドラッグロス 欧米承認済みの7割が未承認
欧米で承認済みの新薬が、日本に入ってこない「ドラッグレス」が深刻化している。
平均寿命、健康寿命とも世界トップクラスの日本は、国民のだれもが一定の費用負担で一定レベルの医療を受けられる国として、世界的にも評価されている。
だが最新の医薬品や最新技術を使った治療を受けられない。海外では使えるけれど、国内では使えない品目がざらにある。これをドラッグロスという。
欧米に比べた日本への新薬の導入遅れを「ドラッグラグ」と称し、国際共同治験への日本の参加を促したり、審査当局の体制を強化して審査期間を短縮したりといった対策が進められてきた。
しかし、日本での未承認薬を調査した結果、16~20年の5年間に承認された243品目のうち、72%にあたる176品目が20年末時点で日本で未承認だ。
しかも、未承認品目が年々増えている。未承認品目のうち、日本で開発中のドラッグラグ品目は81、日本での開発未着手のドラッグロス品目は95だった。
日本の薬価制度では、例えば売上高が想定を上回った品目の薬価を大きく切り下げる”後出しじゃんけん”のようなルールも存在し、製薬企業からは「開発費を投じても日本市場に新薬を導入しても投資の回収が見通せない」といった声が上がっていた。
実際今、外国製薬会社が日本では収益が上がらないと、日本での発売を中止したなどの例もある。
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口臭は特定の細菌の共生が原因?
口臭はどこから発生しているのかは不明だった。大阪大学の研究グループが、特定の口腔細菌が共生することで、メチルメルカプタンと呼ばれる化学物質の産生量が増加することが口臭の一因であることを突き止めた。
メチルメルカプタンは口臭と歯周病との関連強い主な口臭原因物質の一つであり、微量でも強い臭気を発することが知られている。
歯周病に関連する口腔常在菌のフソバクテリウム・ヌクレアタムがメチオニンを代謝する過程でメチルメルカプタンが産生されることが確認された。またフソバクテリウム・ヌクレアタムが歯の表面に付着して初期段階のプラーク形成に関与する口腔レンサ球菌の一種と共生していると、メチルメルカプタン産生量が最大3倍になることも示された。
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インフルエンザ脳症の原因 大阪だなどが発表
インフルエンザの合併症の一つで死亡することもあるインフルエンザ脳症について、脳の血管にたんぱく質が溜まり発症することが分かったと、大阪大などのチームが英科学誌に発表した。たんぱく質の蓄積を防ぐと発症を抑えられることも判明、抜本的な治療法につながると期待される。
インフルエンザ脳症は意識障害や痙攣、異常行動などを引き起こす。9歳以下が6~7割を占め、新型コロナなど他のウイルスでも発症する。免疫機能の暴走が原因と考えられていたが、感染から発症までが短時間のため詳しいメカニズムは不明だった。 -
飲酒少量でも高血圧リスク 健康に配慮、留意点も 厚労省が初の指針
飲酒に伴う+リスクを周知し健康障害を防ぐため、厚生労働省は初の指針「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を正式決定し、公表した。酒量より純アルコール量に着目することが重要だとし、疾患別に発症リスクを例示。大腸がんは1日当たり約20グラム以上で、高血圧は少量でもリスクが高まるとしている。飲む際は量を決めるなどの留意点を挙げた。
純アルコール量20グラムはビール中瓶1本や日本酒1合、ウイスキーのダブル1杯に相当。指針によると、1日当たりの摂取量として脳梗塞は男性40グラム、女性11グラムで発症の恐れが上がる。女性の乳がんは14グラム、男性の前立腺がんは20グラム。男性は、少しでも飲酒すると胃がんや食道がんを発症しやすくなるとの報告がある。
高齢者は若いときに比べて酔いやすく、一定の酒量を超えると認知症発症や転倒のリスクが高まる。若年者は多量に飲むと脳機能が落ちるほか、飲んで顔が赤くなるなどアルコール文化酵素の働きが弱い人は、口内や食道のがんのリスクが非常に高くなるという。
避けるべきの見方として、不安、不眠を解消するために飲む、他人に強要するなどの例を示した。健康への配慮では、飲む前や最中に食事をとったり水を飲んだりする、休肝日を設けるといったことが有効だとしている。 -
歯生え薬が9月から治験開始
生まれつき永久歯が少ない「先天性無歯症」を治療する「歯生え薬」の治験を2024年9月から始めると北野病院(大阪市北区)と京都大病院(京都市左京区)などのチームが5月2日、発表した。歯を一部失った健康な男性30人を対象に投与して安全性を確かめ、その後2~7歳の患者へと対象を広げる計画。2030年頃の実用化を目指し、実現すれば歯を生やす世界初の薬となるという。
永久歯は親知らずを含め32本あるが、先天性無歯症では一部が生えない。欠損の本数が多い遺伝性の患者は国内に12万人いるとみられる。放置するとあごの発達などに影響するため、成長に伴って入れ歯を何度も作り直したり、成長後人口の歯をあごの骨に直接固定するインプラントなどで対処したりする必要があった。 -
劇症型溶連菌 最多ペース
急激に重症化する「劇症型溶血レンサ球菌感染症(STSS)」の患者数が、過去最高だった2023年を上回るペースで増えている。国立感染症研究所は今年3月24日までに556人が報告されたと発表した。前年同期の2.8倍に上っている。
STSSの原因となる「溶血性レンサ球菌(溶連菌)」はありふれた細菌で、子供の咽頭炎を招くA軍溶連菌がよく知られている。通常は風の症状で済むがまれにSTSSを発症する。急増する要因ははっきりしないが、感染力が強いとされる菌のタイプが34%を占めていた。 - 国産コロナワクチン 続々
新型コロナワクチンから約4年、第一三共による初の国産ワクチンの接種が進み、他にも複数のワクチンが最終段階に入っている。
第一三共製ワクチンは昨年11月、流行の主流となっているオミクロン株対応のものが承認された。接種を行っている田幡医院の田幡雅彦院長は「パンデミックの際にはどの国も時刻を優先する。国産ワクチンがあれば安心だ」と歓迎する。
mRNAワクチンは病原体が入賞できなくても、遺伝子情報さえ分かれば迅速に作成できる。米ファイザーとモデルナは新型コロナが流行した2020年、1年足らずで開発した。
第一三共は、mRNAの長さを先行品の4分の1程度に短くしたことで、揺れや衝撃に強くなり、2~8度の冷蔵で輸送・保管ができる。
米国に差をつけられたものの、ワクチン開発は通常10年程度かかるとされる中、第一三共は開発の本格着手から約3年半で実用化させた。
実は同社は、がんや遺伝子疾患などの治療を念頭に、約10年前からmRNAを使った医薬品開発の研究に取り組んでいた。遺伝物質を体内に送り届ける技術の研究を続けており、この二つの技術でワクチン開発が実現したという。
次のパンデミックに備えた研究体制の整備も進んでいる。政府は22年3月、ワクチン開発の司令塔として「先進的研究開発戦略センター(SCARDA)」を設置。1500億円の基金で企業や研究機関を支援している。 -
新肥満症治療薬ウゴービ
痩せる糖尿病治療薬として注目を集めた薬と同じ成分の肥満症治療薬「ウゴービ」の保険適用での処方が始まった。かねて美容やダイエット目的の乱用が問題になってきたが、適切に使えば健康上の効果は大きい。米科学誌サイエンスも2023年の革新技術に選んだ。肥満症の治療に携わる医師は「画期的な薬だからこそ、メンタルや栄養面での悪影響には気をつけたい」と訴える。
ウゴービは「GLP1(グルカゴン様ペプチド1)受容体作動薬」というタイプの薬でデンマークのノボノルディスクが開発した。セマグルチドという成分を1週間に1回、皮下に自己注射する。この成分はもともと、2型糖尿病の治療に使われ、膵臓の細胞に作用して血糖値を下げるインスリンを分泌させるほか、脳に働いて食欲を抑える。胃の働きも鈍くするため、顕著な体重減少効果がある。
しかし副作用もある。胃の働きを抑えるため、吐き気や胸やけ、さらには便秘や下痢も多い。糖尿病治療薬と併用する場合は低血糖値にも注意が必要だ。頻度は高くないが、急性膵炎や胆石の恐れもある。 -
東広島PFSA 指針値の300倍検出も
東広島市内の瀬野川水系周辺の井戸水から国の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)を超える有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題で、市は米軍川上庫弾薬近くの12地点で指針値を上回った発表した。指針値の300倍となる1万5千ナノグラムを検出した地点もあった。
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PFAS健康影響研究
発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)を巡り、環境省は18日北海道大と兵庫医科大、国立医薬品食品衛生研究所に委託して健康影響について研究を始めると発表した。PFASは免疫機能などへの悪影響も懸念されているが不明な点が多く、治験の拡充を目指す。
研究は3年間の予定で、6月ごろ開始。北海道大は胎児期から10代後半までの約700人分の血液に含まれる約30種類のPFAS濃度などから発育や脂質代謝への影響を研究。兵庫医科大はマウス実験でワクチンの効果を低下させる免疫抑制があるかどうかを調べ、国立医薬品食品衛生研究所は分子レベルで毒性のメカニズム解明を目指す。