広島市中区の耳、鼻、喉の専門医、耳鼻咽喉科、アレルギー科、呼吸器内科

杉本クリニック便り Vol.111

ご挨拶

院長 医学博士 杉本 一郎
        杉本 喜朗

晴天の日は柔らかく暖かい日差しが感じられ、少しずつ春めいてきましたが、皆さんいかかお過ごしでしょうか。花粉症の季節でもありますし、引き続きマスクを着用して、感染症から身を守るよう心がけていただければと思います。

 これからスポーツも盛んになる季節ですが、春といえば高校野球。ここ何年かはやはり感染症対策から開催方法にさまざまな工夫が凝らされるようになっていますが、選手の健康面では休養日の設定が拡充されています。

 選手の疲労が蓄積しないように、準々決勝・準決勝の翌日には休養日を設けられています。これは夏の大会の話ですが、1969年に投手・太田幸司選手を擁する青森県の三沢高校は、決勝戦で0―0の引き分けになり、翌日の再試合で2-4と惜敗しました。太田選手はこの決勝戦で合計27イニング、準々決勝から数えると合計45イニング(5試合分)を1人で投げきりました。

 近年は、高校野球でもプロ野球のように、複数の投手をローテーションして連投を避けたり、1試合を複数の投手で継投して1人当たりの投球数を抑えたりする例もみられます。野手も含めて疲労の蓄積による故障のリスクを抑えるためには、連日の試合を避けることは有効でしょう。

 皆さんの中にも、暖かくなったことをきっかけに、これから「運動を強化しようか」と考えられている人がいるかもしれません。運動による疲労で転倒したり体調を崩してしまったりしては、本末転倒になりかねません。筋力や筋肉量を維持しようと考えられる人も含めて、医師やトレーニングの専門家に相談して、無理のない運動スケジュールの設定を心がけてください。

今号(2022年春号)の内容

詳細は「杉本クリニック だより」をご覧下さい。

  • あなたの寝たきり危険度をチェック杉本クリニック便りVol.111
  • そうだったんだ 体にしくみ
    血液とリンパ節編
  • 初めての介護サービス
    事前に知っておきたい介護Q&A
  • お薬百科 医療機関で処方される薬を知ろう
    ビタミン剤編
  • 訪れてみたい日本のリゾート地
  • 一口病気解説
    「口内炎」

あなたの寝たきり危険度をチェック

 健康寿命を延ばそう

Healthy life expectancy

    世界に例を見ないスピードで高齢化が進んでいる日本は、平均寿命が80歳を超えている長寿大国です。しかし、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる「健康寿命」はもっと短く、約10歳もの開きがあります。寝たきりや介護の状態をできる限り防ぎ、長い人生を自立して自分らしく過ごせるような日常生活を、元気な時から心掛けましょう。

 

現在の自分の状態を把握しよう

 まず自分の状態を把握しましょう。現在、75歳以上の5人に1人が要介護状態にあるといわれています。介護を必要とする主な原因を溶解度別にみると、要支援者では骨や筋肉など運動器の障害がトップで、次いで脳血管障害、高齢による衰弱の順となっています(2019年度厚生労働省国民生活基礎調査)。

 まず、今の自分がどのくらい「要支援・要介護」や「寝たきり」の危険があるのか、次ページでチェックしてみましょう。このチェックシートは厚生労働省が作成したもので、25質問があります。日常生活について「はい」「いいえ」で回答してください。あまり深く考えずに、直感的に答えてみましょう。

 回答の結果が10点以上になる人は、健康な人に比べて、寝たきりになる危険が6.5倍になるといいますので、要注意です。また10点より少なかった人でも、当てはまる項目があるということは「生活機能の低下」が考えられますし、加齢とともにさらに点数が増える可能性もあるので、注意が必要であることに変わりありません。

 将来寝たきりにならないためには、元気なうちから生活習慣を改善して予防することが重要です。

ポイントは運動、栄養、口の健康

 高齢になると小さな不調でも、寝たきりにつながってしまいます。疲れやすい、歩きづらいなどと感じて外出や活動量が減ると、筋肉が衰え体力が落ちるので、さらに疲れやすくなり、もっと活動量が減る…という負の連鎖を繰り返すうちに食欲や気力が落ちて、やがてちょっとしたきっかけから、要介護状態になってしまうのです。

 心と体の健康を保ち、健康寿命を保つためのポイントは、①運動②栄養③口腔の3つです。

  • 運動機能の向上

 高齢になると、つまずいただけで骨折することもあります。体は、動かさないとどんどん退化します。筋力は20歳代がピークで、加齢とともに低下していきますから、できれば30~40歳代のうちから運動を生活の中に上手に組み込みましょう。家の中だけでも、家事の動作をなすべく大きくして普段あまり使わない筋肉や関節を使うようにする、わざわざ遠回りして歩数を多く稼ぐ、階段を多く稼ぐ、階段を上り下りするなど、工夫次第で運動量を増やすことができます。つかまる物のあるところでの片足立ちや関節の曲げ伸ばしもよいですし、外出の機会を増やして、バスや電車に乗ったり歩いたりする機会をつくるのもよいでしょう。

  • 栄養状態の改善

 高齢になると、あまり空腹感を覚えず食事を抜きがちになったり、食が細くなったりして、低栄養に陥ってしまうことがあります。低栄養になると筋力や抵抗力が低下して、病気になりやすくなりますし、心身の老化も加速します。粗食になり過ぎたり、栄養が偏っていないか、一度食事を見直してみましょう。逆に、健康ためにとあれこれ食べ過ぎるのは、肥満から生活習慣病を引き起こす元になります。食事はバランスよく適量を食べるのが大切です。

  • 口腔の健康

  噛むことは、唾液が出て消化を助けるだけでなく、脳が活性化して認知症の予防になるといわれています。また、話したり豊かな表情を作ったりと、口は元気な生活のためにとても重要な器官です。毎食後や就寝前の歯磨きやうがいなど、口腔内の手入れは怠りなく毎日行いましょう。また口を大きく開いたり左右に動かすなど、口の体操も行ってみましょう。

心の健康も大切

 もう1つ重要なことは、精神面です。病は気から、というように、自分が「元気になりたい」「治したい」という意思や目標を強く持てれば、実際に病気の回復が早かったり、リハビリの効果が表れることも多いのです。その「気持ち」が大切なのです。楽しみやときめき、やりがいのあることを見つけて継続していくことが、生きる力になります。

 精神的に外出したり友人と交流したりすることも、とても意味のあることです。現在はコロナ渦の影響やさまざまな困難な局面にある人でも、本人の考え方次第では、前向き進むことができるでしょう。自分にとってのやりがいを持ち続けて、一度の人生を最期まで楽しみたいものです。健康チェックリスト

血液とリンパ節

そうだったんだ からだのしくみ

全身を巡る血液3つの血球が働く

 人の体の中には、血液リンパ液などの体液が流れ、それぞれの器官や組織が正常に機能するように整えています。
 体液にはほかに、組織の間にある組織液があります。(図1)。血管の中を流れる血液は、「血球」と液体成分の「血漿」からなり、この血漿が血管からにじみ出て、組織の間に広がったのが組織液です。組織の細胞は組織液から栄養や酵素を受け取ります。組織液の一部はリンパ管に入ってリンパ液と呼ばれます。
 人の血液は体重のおよそ13分の1です。体重が65kgの人の血液は5kgになります。血漿は血液全体お半分ほどで、90%が水です。
 血球(血液細胞)は、酵素を運ぶ「赤血球」、体の中に侵入した細菌やウイルスを攻撃する「白血球」、血液を凝固させる「血小板」に分類されます。血が赤く見えるのは、血液中に赤血球が多くあるためです。赤血球の中にある色素(ヘモグロビン)が酵素と結合すると明るい赤色になります。
 血管の壁が壊れて出血すると、血小板が活性化し、血栓を形成します。さらに血漿中の凝固因子も絡み合って網目状の強力な血栓ができ、止血されます。

生体防御白血球が担当

 血球は骨の中心にある骨髄でつくられます。血球のもとになる造血幹細胞が骨髄系幹細胞とリンパ系血液の種類幹細胞に分化し、骨髄系幹細胞から赤血球や血小板、白血球のうち好中球や単球などができていきます(図2)。リンパ系幹細胞からはリンパ球ができ、これも白血球に分類されています。
 白血球は血管の外に出て移動することができます。細菌が体に侵入すると、好中球が血管壁を出て、単球から分化したマクロファージと一緒に破壊します(貧食)。生体防御の次の段階として、リンパ球を中心としたチームが病原体を攻撃し排除します。リンパ球はほかにも体内に侵入した病原体を記憶して次回以降素早く対応したり、病原体に感染した自分の細胞やがん細胞を攻撃したりします。

小豆大のリンパ節フィルターの役割

 全身のリンパ管のところどころに、リンパ管が合流するリンパ節があります。リンパ節は豆のような形をして、大きさは通常1cm以下。首や脇の下、鼠径部など全身に分布しています。
 リンパ節は、リンパ液が運んできた古い細胞や老廃物、病原体などの異物を処理するフィルター(濾過)機能を持っています。
 体に異物が入ると、リンパ節で異物の情報
がリンパ球(T細胞)から別の種類のリンパ球(β細胞)に伝わり、異物を除去する抗体がつくられます。抗体は輸出リンパ管を通って全身に送り出されます。体の中ではさまざまな細胞が協働して外敵から守っています。

 

初めての介護サービ

初めての介護サービス

監修:早稲田大学人間科学学術院
健康福祉科学科 教授 植村尚史氏
京都大学法学部卒業後、厚生省(当時)入省。内
閣法制局参事官、厚生省保健社会統計課長、社
会保険庁企画・年金管理課長、国立社会保障・人
口問題研究所副所長を経て、2003年4月か
ら現職。著書に『〔図説〕これからはじめる社会保
障』『若者が求める年金改革』など。

事前に知っておきたい介護Q&A

Q 玄関先にある木の枝が隣の家にまで伸びてしまったので、ヘルパーさんに切ってほしいとお願いしたら断られました。

 介護保険で認められていない行為は、ホームヘルパーにお願いできないことになっています。ホームヘルパーが行ってはいけない行為は、大きくは、次の3つに分けられます。

 

1⃣ 本人を直接援助するとはいえない行為…利用や以外の洗濯、利用者以外の食事の調理、利用者以外の買い物など

2⃣ 日常的な家事の範囲を超える行為…大掃除、洗車、墓参りなど

3⃣ ホームヘルパーが行わなくても日常生活に支障がないとされる行為…庭の草むしりや手入れ、ペットの散歩、正月のお節料理の準備や調理など

 インスリン注射などの医療行為もホームヘルパーにはお願いできませんので、医療的な処理が必要になる場合には、事前にお願いできる範囲を確認しておくとよいでしょう。
 介護保険では利用できない家事や生活支援は、自費サービスは、介護保険外のサービスですので、全額自己負担です。料金や条件などは、サービスを提供する会社によって異なります。

 ホームヘルパーが足りない、といく記事を新聞で読みました。サービスが雑になるのではと心配しています。不満を感じた時は、どうすればよいですか。

 まずは、介護支援専門家(ケアマネージャー)に相談してください。介護は、長丁場になることが多いので、不満があったら我慢しないことが大切です。

 例えば、「ヘルパーによってケアの質がバラバラ」などの不満を感じたら、ケアマネジャーに相談してみましょう。経験豊富なケアマネジャーがサービス事業者に角が立たないように伝え、改善できるかもしれません。場合によっては、事業所の変更も可能です。話し合いが難しい時などは、苦情相談対応機関に相談する方法もあります。サービスを締結した際の重要事項説明書に、苦情受付機関の連絡先の記載があります。

 実家の父に認知症の症状がでるようになりました。まだ自分で生活はできているのですが、遠距離での介護必要になりそうです。兄弟姉妹3人とも遠方に住んでいます。

 介護保険の申請をしていない場合は、まず地域包括支援センターに相談してください。3人で役割分担を話し合い、使える制度を賢く利用して乗り切りましょう。

 介護保険の申請がこれからでしたら、すぐに、お父様が住む市区町村の窓口もしくは地域包括支援センターに連絡してください。電話でも相談できます。相談料は無料です。
 次に、ご兄弟で役割分担を決めて、協力体制を整えましょう。司令塔のような役割を果たす、キーパーソンを決めておくとよいでしょう。チーム戦は、情報収集とコミュニケーションが鍵となります。情報は共有できるようにしておきましょう。
 介護が必要になる原因の1位が、実は認知所です。誰が発症しても不思議ではない昨今ですから、打ち明けて、ご近所さんを味方につけるのも1つの手です。
 遠距離介護の交通費の負担を軽減するために利用されているのが、航空会社やJRの割引システムです。条件や割引率は、各社で異なりますので、パンフレットなどでチェックし、賢く利用するとよいでしょう。

ホームヘルパーにお願いしていいこと
 ・掃除 ・洗濯 ・調理 ・食事の配膳、後片付け ・ベッドメイク ・衣類の整理、被服の修繕

 ・食料品の買い物 ・生活必需品の買い物(トイレットペーパーなど)

医療機関で処方される薬を知ろう!
 ビタミン剤編

医療機関で処方される薬を知ろう

 

 ビタミンは、病気や手術などで十分に食事がとれなかったり、遺伝的な原因などで補給が必要となる場合に処方されます。

 ビタミンB群やビタミンCなどは水に溶けやすい水溶性ビタミンは必要量以上を摂取すると尿中に排泄されますが、脂溶性ビタミンは体内に蓄積しやすいため、過剰摂取には注意が必要です。

 

ビタミンA

 欠乏すると、暗いところに行った時に目が慣れにくい暗順応障害や、暗闇で見えにくい夜盲症、皮膚の乾燥や角質化、粘膜の乾燥などが起きることがあります。また、過剰症としては頭痛や脳脊髄液圧の上昇などがあります。

ビタミンD

 腸や肝臓においてカルシウムやリンの吸収を促し骨を丈夫にする働きがあります。欠乏すると骨軟化症と呼ばれる状態になり、関節や骨の痛みが生じることがあります。一方、過剰摂取すると高カルシウム血症を起こし、血管壁や腎臓にカルシウムが沈着して腎機能障害などを起こすことがあります。

ビタミンE

 欠乏すると筋力低下や神経障害を招き、冷え症、頭痛、肩こりなどを起こしやすくなります。便から排除されるため、過剰症は起こりにくいとされますが、大量に摂取した場合には血が固まりにくくなるとする報告もあります。

ビタミンK

 出血などの際に血液が固まる働きを促進するほか、骨の形成を促します。欠乏すると出血が止まりにくくなることがあります。

ビタミンB1

 糖を分解してエネルギーを作り出す過程に必要です。不足すると食欲不振やだるさなどの症状が表れます。欠乏症としては脚気、ウェルニッケ脳症などがあります。

ビタミンB2

 体内のエネルギー産生や物質代謝に関わる補酵素として働きます。成人では欠乏症すると口内炎や口角炎、舌炎、皮膚炎などが起こります。

ビタミンB6

 免疫系の維持に重要とされています。欠乏により、舌炎や口角炎、リンパ球減少が起こり、成人ではうつ状態や錯乱が起きることもあります。一方、長時間、大量に摂取すると感覚神経障害が起こることがあるとされています。

ビタミンB12

 たんぱく質やアミノ酸、核酸の合成に関わっています。欠乏すると赤血球の異常である巨赤芽球性貧血や神経障害を引き起こします。

ナイアシン

 ナイアシンはニコチン酸とニコチンアミドの総称で、物質の代謝やエネルギー産生、ホルモンの合成などに関わっています。欠乏すると、皮膚炎や下痢、精神神経症状を伴う病気を発症することがあります。

ビタミンC

 コラーゲンの合成に不可欠です。また抗酸化作用があり、心血管疾患の予防効果が期待されています。欠乏すると血管が弱くなって出血を起こす壊血病を発症します。

 ビタミンには健康な人の体調をさらに改善する働きはありません。また、薬の効き目に影響を与える場合がありますので、市販のビタミン剤を服用している場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。

一口病気解説 口内炎

 口内炎は口の中の粘膜(口腔粘膜)に起きる炎症で、粘膜が赤くなる程度から、水疱や偽膜ができたり、広い範囲にびらん(組織の表面が浅く欠け、ただれた状態)や潰瘍ができるものまで、さまざまな種類と症状があります。
 疾患名として、カタル性口内炎、アフタ性口内炎、潰瘍性口内炎、壊疸性口内炎、カンジダ性口内炎などがあげられますが、カタル性口内炎とアフタ性口内炎がほとんどで、そのほかは比較的稀な病気です。
 カタル性口内炎は、虫歯や辺緑歯周炎(歯槽膿漏)などで口の中が不衛生になりやすい場合や義歯や歯並びの関係で機械的に刺激が口腔粘膜に加えられた時に発症します。また、全身に何らかの疾患があり、それが原因になる場合もあるので、口内炎が頻繁に起こる時は医師の診察を受けることをお勧めします。
 症状は口腔粘膜が赤く腫れ、唾液が多くなり、口臭を感じます。また、酸っぱいものや辛い物がしみるようになります。舌緑や歯肉に起こることが多いのですが、ひどくなると口腔全体に広がる場合もあります。
 治療はまず、原因となる刺激物を取り除きます。そして、イソジンなどにより1日数回、口をすすいで口腔内を清潔に保ちます。
 アフタ性口内炎は口腔粘膜に1個または複数のアフタ(浅い潰瘍)ができるものです。アフタは円形あるいは楕円形で。周囲の粘膜より赤くなり、物が触れると強い痛みを感じます。このアフタが再発するのが再発性アフタで、年に数回から月に1度程度の頻度で発症します。
 原因は過労、ストレス、胃腸障害、ビタミン不足、ウイルス感染、内分泌異常などさまざまですが、アフタが発症するメカニズムはまだ不明です。
 治療は対症療法が中心で、硝酸銀をアフタに塗布したり、副腎皮質ホルモン軟膏を塗る場合もあります。ただ、アフタをつくる原因疾患がある場合は、その治療を行わないと再発します。予防には過労、ストレスを避け、体をゆっくり休めるように心がけることが大切です。

耳鼻咽喉科、アレルギー科、呼吸器内科 TEL 082-241-4187 月曜日午前中のみ 9:00~11:30
休診日 日曜日・祝日

PAGETOP
Copyright © 杉本クリニック All Rights Reserved.