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杉本クリニック便り Vol.120

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ご挨拶

院長 医学博士 杉本 一郎
杉本 喜朗

 本格的な夏を迎え、木々の葉は生い茂り、緑も色濃くなってきました。夏は気温と湿度が上がって、食中毒のリスクが高まります。飲食店などの外食だけでなく、家庭でも食中毒は多く発生しています。細菌による食中毒を予防するための3原則は、①細菌を食べ物に「付けない」②食べ物に付着した細菌を「増やさない」➂食べ物や調理器具などに付着した細菌を「やっつける」です。

  • の付けないために、食品を扱う前後や食事の前には石けんを付けて手を洗うこと。そし包丁やまな板などの調理器具は、使用の都度、きれいに洗いましょう。②の増やさないためには、低温で保存することです。買ってきた生鮮食品やお惣菜などは速やかに冷蔵庫へれ、早めに食べきりましょう。➂のやっつけるためには、加熱処理をすれば、ほとんどの細菌は死滅します。調理道具も、よく洗った後に熱湯をかけたり煮沸したりして殺菌しましょう。

食中毒の原因は、細菌やウイルスだけではありません。例えば、身近な食材であるジャガイモは、炭水化物やビタミンCなどの栄養素を多く含む食材ですが、食中毒を起こすケースが意外に多く見られます。ジャガイモの芽などには、ソラニンやチャコニンという天然毒素が微量に含まれているため、それを食べて腹痛や下痢、嘔吐、めまいなどを起こすことがあるのです。

対策として、芽が出たジャガイモは芽だけでなくその周りもしっかり取る、皮が緑になっていたら厚めにむく、小さ過ぎる未熟なイモや中まで緑色のイモは食べない、えぐみや変な味がすると思ったら食べないことなどに留意してください。またイモが光に当たると毒素が増えやすいので、保管は暗く涼しいところしましょう。

今号(2024年夏号)の内容

詳細は「杉本クリニック だより」をご覧下さい。杉本クリニック便り2024年夏号 VOL.120

  • 害虫に気をつけよう! 被害を減らすための対策
    旅行先に潜むトコジラミ、ヒョウダニ
  • そうだったんだ 体にしくみ
    前立腺のしくみ編
  • 身近なものを賢く利用して「介護をもっと快適に
  • お薬百科 医療機関で処方される薬を知ろう
    点眼薬(抗菌薬・抗ウイルス薬・その他)編
  • 「パラリンピック」の競技紹介
  • 一口病気解説
    メニエール病 


    害虫に気をつけよう! 被害を減らすための対策
    旅行先に潜むトコジラミ、ヒョウダニ

新型コロナ感染症対策が一段落して、旅行の機会が増えましたが、気になるのが、最近ニュースでも話題のトコジラミの被害。ホテルに泊まったら何カ所も刺された、入浴施設で被害に遭ったという話も耳にします。気づかずに家に持ち帰って繁殖する、駆除は大変です。また、室内の害虫では、ダニも気がかりです。こうした害虫の発生場所と対策を確認して身を守りましょう。

被害が増えるトコジラミ刺されると発疹が出て強いかゆみ

最近、ニュースでもよく報道されるようになったのが、「トコジラミ」による被害です。「ホテルに泊まったら何カ所も刺され、いつまでもかゆい」「通勤電車のシートにもそれらしき虫がいた」などと話題になっています。

東京都に寄せられたトコジラミについての相談件数は、2005~2008年度には26~65件でしたが、2009年頃から急増して、2012年以降は年間300件前後と高止まりしています。

 トコジラミは「ナンキンムシ」とも呼ばれます。成虫の体長は5~8㎜で茶褐色。血液だけをエサとしトコジラミていて、1回で体重の数倍もの血液を吸うことができます。メスは一生(2~4カ月)の間に100~500個もの卵を産むとされ、あっという間に増殖します。

 最近では、殺虫剤に耐性があるトコジラミが増えています。特に家庭用殺虫剤の主な有効成分であるピレスロイドがほとんど効かない個体が、全国で確認されています。

トコジラミに刺されると、数時間から数日経ってから発疹ができ、強いかゆみが生じます。一度に複数の箇所を刺されることが多いようです。かゆみや腫れはアレルギー反応によるものですので、刺された経験がない人ではかゆみなどが起こらず、複数回刺されると発疹やかゆみなどが生じるようになります。

トコジラミが好むのは暗くて狭い場所 繁殖すると駆除は困難

トコジラミは、日中は暗くて狭くい場所に潜み、暗くなると現れて、人間の息に含まれる二酸化炭素を察知して吸血します。ですから、就寝中など夜間に、首や手首などの露出している部分を刺されやすいのです。

旅行先などの宿泊施設では、トコジラミが潜んでいる可能性が高いところをチェックしてみましょう(図)。部屋のベッドのマットレスの下やヘッドボードの隙間、壁に掛かっている絵やカレンダーの裏側、ソファの隙間などをのぞいて、もし点々としたどす黒い糞(血糞)や、トコジラミ自体が見つかったら、部屋を替えてもらうなどの交渉をするとよいでしょう。

ある程度、生息数が増えてくると、トコジラミの完全な防除は困難です。このため、旅行などでは、「たとえトコジラミがいてもなるべく刺されない」「自宅に持ち帰らない」といった対策が大切です。

ベッドの周囲などにも多く潜伏するため、刺されないためには、シーツなど寝具をよく確認しましょう。虫よけ剤を肌や服に塗っておく方法もあります。また、トコジラミは明るいところを好まないので、照明をつけたまま寝るのも1つの方法ですが、その場合はアイマスクをつけるとよいでしょう。

また、旅先で荷物や衣服に潜んだトコジラミをうっかり自宅に持ち帰り、繁殖してしまうと駆除はかなり困難です。対策として、旅先では、手荷物をステンレスなどすべりやすい脚がついている台の上やバスルームなどに置くと、虫が潜り込む確率を下げることができます。大きなビニール袋に荷物入れておく手もあります。帰宅したら、衣服をクローゼットなどに直接しまわず、50℃以上の温湯に浸す、熱風を数分間当てるなどの方法で処置しておくとよいとされています。

それでももし家の中でトコジラミを見つけたら、ガムテープで貼り付ける、掃除機で吸い取るなどして、速やかに駆除します。掃除機で吸っても中で生きていてはい出してくる可能性がありますので、吸ったゴミはすぐに密閉して捨ててください。

トコジラミに刺された場合の治療は、アレルギー反応の炎症を抑える抗ヒスタミン薬や、免疫の働きを抑えるステロイド薬などの塗り薬が効果的です。かゆみがひどい場合は、かきつぶして悪化させないうちに医療機関を受診してください。もしトコジラミが自宅で繁殖してしまったら、保健所などに相談しましょう。

ダニによるアレルギー疾患にはホコリと高温度対策が大切

もう1つ、室内で気をつけたい害虫が「ダニ」です。花粉症がいつまでも続くと思って検査したら、原因はハウスダストだった。ということもあります。室内のアレルギー原因物質(アレルゲン)として最も重要とされるのは、ホコリの中に紛れている「ヒョウヒダニ」というダニの一種です。

日本では高温多湿でありながら、住宅の高気密化、高断熱化が進んだため、欧米に比べて10~25倍もダニ汚染度が高いとされています。なかでも寝具の影響が大きく、枕元の空気のダニ汚染は居間の10倍程度にもなります。

寝具のダニ汚染の防止や除去には、掃除機による吸引と、ダニを通さない高密度な繊維を用いた防ダニ布団カバーなどが有効とされています。ハウスダストアレルギーだとわかったら、寝具のダニ対策から始めましょう。

ハウスダストによる鼻炎や結膜炎などのアレルギー疾患には、抗ヒスタミン薬の内服や抗ヒスタミン薬・ステロイドなどの点鼻・点眼が、また、気管支喘息には吸入ステロイド薬などが用いられます。

また効果が出るまで数カ月かかり、最低3年は治療を続ける必要がありますが、舌下免疫療法も有効性の認められた治療法の1つです。

 


そうだったんだ 体のしくみ 前立腺のしくみ編

そうだったんだ からだのしくみ

栗の実に似た前立腺生殖機能をサポート

前立腺は男性にしかない臓器です。恥骨と直腸の間にあり、尿の通り道である尿道を取り囲んでいます(図1)。膀胱や精糞の前方に位置するため、「前立腺」という名前になったようです。重さは約15~20g、直径3㎝ほど、体積は10~20㎤で、大きさも形も巣の実に似ています。また前立腺の中で、尿道と精液の通り道である射精管が合流しています。

前立腺はたくさんの腺管があり、精液の一部である前立腺液を分泌します。前立腺液は、精子を保護したり、精子に栄養を与えて、精子の運動を助ける働きをしたりしているといわれます。また前立腺液には、PSP(前立腺特異抗原)というたんぱく質が含まれています。PSPのほとんどは精液中に分泌されますが、一部は血液中に分泌されますが、一部は血液中にあり、腫瘍マーカーとして前立腺がんの診断に使われています。

前立腺の肥大で排尿トラブルに

前立腺は性ホルモンの変化などにより、年齢に伴って徐々に肥大します。肥大してみかんくらいの大きさになることもあるます。前立腺は尿道をぐるりと取り囲んでいるだめ、前立腺が肥大すると、尿道が圧迫されます(図2)。

前立腺肥大症は、尿道が圧迫されて、さまざまな排尿を引き起こす病気です。尿が出にくい、尿の勢いが弱い、いきないと尿が十分に出せないなどの排尿症状のほか、頻尿や尿意切迫感、残尿感も起こります。

前立腺がんは、前立腺に正常ではない細胞が出現、それが増殖して起こります。男性のがんで最も罹患数が多いのが前立腺がんで、高齢化や食生活の欧米化などにより、年々増加傾向にあります。がんの早期は症状がないことがほとんどですが、進行すると排尿の症状が現れます。

前立腺の一部は直腸に接しているため、直腸に指を入れて行う直腸診で前立腺に触れることができ、前立腺肥大症や前立腺がんの重要な診断法になっています。また、PSPが高いなどの理由で、前立腺がんが疑われた場合、麻酔後に直腸から前立腺に細い針を刺して、前立腺の組織を採取(生検)するころで確定診断が行われます。

 

 


 

お薬百科 医療機関で処方される薬を知ろう! 点眼薬狭心症薬編

今回は、点眼薬のうち、細菌やウイルス、真菌など病原体の感染による結膜炎や角膜炎に有効な抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬と、白内障、緑内障の治療に用いられる主な処方点眼薬(一部、眼軟膏を含む)をご紹介します。

感染性結膜炎・角膜炎用の点眼薬

目の中央部のいわゆる黒目・茶目などと呼ばれる部分は「角膜」、白目などと呼ばれる部分は「角膜」、白目の部分からまぶたの裏側にかけては「結膜」という、いずれも透明な膜に包まれています。角膜や結膜は常に涙で覆われ、清潔に保たれています。しかし、外部から細菌やウイルスなどが入って感染すると、目やに、過剰な涙、痛み、充血などを伴う角膜炎や結膜炎を引き起こすことがあります。こうした病気の治療には、病原体の種類などによって、次のような薬が処方されます。

抗菌薬

細菌感染による結膜炎、角膜炎の場合には、抗菌薬(抗生物質)が使われます。抗菌薬は細菌の種類や症状になどによって使い分けられます。クラミジア性粘膜炎など一部の細菌感染症では、眼軟膏や内服薬が処方されることもあります。抗菌薬の点眼薬は、指示された回数と期間を守って使うことが大切です。

抗菌薬は、ウイルスや真菌など細菌以外の病原体には効果がありませんが、症状が激しかったり長引いたりする場合には、細菌との混合感染を防ぐため、抗菌薬が処方されることもあります。

抗ウイルス薬

ウイルス感染による目のポピュラーな病気に、流行性角結膜炎(はやり目)があります。多くはアデノウイルスと呼ばれるウイルスの感染によるもので、感染力が強く学校などで流行することがあります。残念ながらこのアデノウイルスに有効な特効薬はありません。

外用の抗ウイルス薬が有効な目の病気としては、単純ヘルぺスウイルス角膜炎があり、アシクロビルの眼軟膏が保険適用となっています。

抗真菌薬

カビの一種が目に入って起きる病気が、真菌性角膜炎です。真菌が眼球内に入って眼内炎を引き起こす場合もあります。日本ではピマシリンという薬が治療用の点眼薬、または眼軟膏として処方されます。

緑内障・白内障用の点眼薬

緑内障は、主に眼圧が上がることによって、見る機能を担う視神経がダメージを受ける病気です。進行すると見える範囲(視野)が次第に狭くなり、長期的には失明に至ることもあります。このため、眼圧を下げる薬や視神経を保護する働きを持つ薬が用いられたり、場合によっては手術が行われます。緑内障の進行をくい止めるには、目の検査を定期的に受け、なるべく早期に発見することが大切です。

眼圧を下げる仕組みは薬によってさまざまで、多種類の薬剤の中から、個々の患者さんに合ったものが用いられます。病気が進行した場合や進行が速い場合には、複数の薬を組み合わせて用いることがあります。

白内障は、目のレンズの働きをする水晶体が濁って見えにくくなる病気で、60歳代では7~8割、70歳代では8~9割の人が濁ると薬による有効な治療はなく、濁ってしまった水量体を取り除いて眼内レンズに置き換える手術が行われます。

初期の軽度の白内障に対しては、濁りの進行を予防する薬として、ピレノキシンやグルタチオンが点眼薬として処方されることがあります。

 


一口病気解説 メニエール病

メニエール病は、激しい回転性のめまいが起こり、それと同時耳鳴りや難聴、耳が詰まった感じ(耳閉感)などが表れる病気です。メニエールというのは、めまいが耳の病気から起こることを初めて報告したとされるフランス人医師の名前に由来しています。

メニエール病の特徴は、めまい発作やそれに伴う症状を何度も繰り返すことです。その頻度は、週1回程度から年に数回程度までさまざまで、めまいによって吐き気や嘔吐を伴うこともあります。発作は通常は数十分から数時間で治まり、難聴などの症状も改善しますが、発作を繰り返すうちに難聴などの症状が回復せずに悪化してしまうこともあります。

30~50歳の人に起こりやすく、女性のほうが多い傾向にあります。原因ははっきりわかっていませんが、メニエール病では内耳の三半規管や蝸牛に水腫ができることが確認されています。ストレスや過労、睡眠不足などでめまい発作が起こりやすく、天候や気圧の影響を受けることもあるようです。

めまい発作が起きたら、慌てずに横になって安静にします。症状がひどければ、医師から高めまい薬、吐き気止めなどの薬物治療を受けます。それでも発作が治まらない場合は、内服だけでなく、点滴が必要な場合もあります。

メニエール病は、早期に正しく診断してもらい、適切な治療を受けることが大切です。予防のためには、過労やストレスを避け、十分な睡眠や軽い運動をするなど生活を改善すること、また内耳循環改善薬や利尿薬、抗不安薬、漢方薬などを服用することもあります。

 


治療を行っています。

杉本クリニックはメニエール、めまい、耳鳴り、難聴や花粉症、アレルギー性鼻炎、睡眠時無呼吸症候群など症状があれば、お気軽にご相談ください。
また補聴器の購入前には難聴の程度や原因を調べ、治療・補聴器の必要性を判断いたします。

耳鼻咽喉科、アレルギー科、呼吸器内科 TEL 082-241-4187 月曜日午前中のみ 9:00~11:30
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