子どもが薬を誤飲するのを防げ
子どもが薬を誤飲する事故が後を絶たない。成分や量によっては深 刻な健康被害を起こすこともある。薬を密閉容器に入れ、子どもの手の届かない場所に保管するなど、誤飲防止策を家庭で徹底したい。製薬会社も、子どもには開封しづらい包装容器の導入を進める
薬は密閉容器や見えない所に
板橋区医師会病院(東京都板橋区)院長で小児科医の泉裕之さんによると、子どもは生後5~6か月頃から手にするものを口に持っていき、なめて確かめるようになるという。「口に入るものは全て、子どもが誤飲する危険性がある」と注意を促す。特に、薬の誤飲には気をつける必要がある。大人の薬1錠は小さな子どものち~6錠分に当たることもあり、重い中毒症状を起こしかねない。
同病院でも3年前、2歳の男児が意識のない状態で運ばれてきた。母親が服用していた抗不安薬を約20錠飲んでしまったためで、回復するまで1週間ほど入院した。
日本中毒情報センターのデータによると、5歳以下の子の薬の誤飲は増加傾向にあり、2006年に5415件だったのが、14年には8433件となった。そのうち嘔吐などの症状を訴えたのは849件だった。 家庭での薬の誤飲を防うと、大日本住友製薬(大阪市)は16年12月、防止策を紹介する動画(http://kanja.ds-pharma.jp/life/goin/)を公開した。
イラストを使い、①1~~2歳児は大人のまねをするので、薬は子どもが見ていないところで飲む ②3歳-を過ぎると手先が器用になるので、薬は密阻容器に入れ、子どもから見えない場所に保管するーなどと、年齢別に注意点をわかりやすくまとめた。無料でダウンロードできる。
泉さんは、「子どもは親が目を離した隙にバッグを開けたり、足場を使って高い場所に手を伸ばした句と、恩わぬ行動を取ることがある。用心にも用心を重ねてほしい」と話す。
子どもの薬の誤飲を防ぐポイント
・薬は高いところや子どもから見えない場所などに保管する
・子どもが開けにくい容器に入れ、服用後 はすぐ片付ける
・薬の保管にお菓子の空き缶などは使わない
・シロップ剤を冷蔵庫に保管する際、ジュースと並べない
・薬は甘い味でも」お菓子ではないことを理解させる