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片頭痛治療 広がる選択肢

頭がズキンズキンと割れるように痛む。日常生活にも支障をきたす片頭痛。10人に1人が悩んでいるとのデータもある。ここ数年、予防薬が相次いで承認され、治療の選択肢が広がってきた。最近は、痛みにつながる行動を避けることで、治療の効果を上げる手法も注目されている。

新たに3種の予防薬

福島県内に住む女性(44)は、10年以上前から突然襲う頭痛に悩まされてきた。月に10回以上、頭が割れるように痛み、目が開けられない。吐き気に襲われることもある。

市販の鎮痛薬でしのいでいたが、片頭痛と診断され、2009年から予防薬のロメリジンを飲み始めた。一時は落ち着いたが、認知症の母親と暮らし始めて悪化。昨夏は薬を飲んでも週3回は痛み、予防に使えるようになったばかりのパルプロ酸という薬を追加。その後は、月に1~2回程度に減ったという。

女性は「いつ、あの頭痛が襲ってくるんだろうと不安で仕方がなかった。今は、頭痛のことを考えなくなったから仕事や家事に集中できる」と話す。

migraine

慢性頭痛は、日本人の3人に1人が苦しんでいると言われる。最も多いのは約2割に上る緊張型頭痛。頭を締め付けられるような鈍痛が特徴だ。片頭痛の患者は1割とされ、脈打つような強い痛みが、4~72時間続く。女性患者が多い。自己診断で市販薬を乱用し、症状が悪化する人もいる。

片頭痛は、神経が刺激され、脳の血管が広がることで起こるようだ。痛みが起こった時に、血管を収縮させる作用のある薬で症状を抑えるのが一般的だ。

太田熱海病院(福島県郡山市)の山根清美医師(神経内科)は「頭痛をくり返すと、血管を傷つけて、脳内の出血などにもっながりかねない」とも指摘する。近年、てんかんやうつ病の治療薬が片頭痛予防薬としても公的医療保険の対象になり、治療の選択肢が広がった。予防治療の対象になるのは頭痛の回数が月2回以上で、主に市販の鎮痛剤などを月10回以上使っている人や、重症で仕事や生活に支障がある人たちだ。

片頭痛の予防薬は、これまでカルシウム括抗薬ロメリジン1種類しかなかった。11年、厚生労働省は、パルプロ酸(商品名・デパケン、セレニカ)を片頭痛の予防にも認めた。昨年8月、9月にも2種類に保険が使えるようになった。

予防薬は、まず1種類の薬を3カ月をめどに使う。効果が出るまでに1か月はかかるため、痛みが出た時には専用の鈍痛剤なども併用する。山根さんは「1種類で効果が出なければ、別の薬を試す。痛くなってから対処するのではなく、少しでも回数を減らして生活しやすくする治療に変わりつつある」と話す。

痛みの引き金を分析

片頭痛の原因は、人によって様々だ。ストレスや光、音、アルコールなど食品が引き金になるという報告もある。痛みにつながる行動を避けるだけでも、頭痛の回数を減らせるため、「個人のコントロールが治療には欠かせない」と、近畿大学神経内科の西郷和真医師は話す。

勧められるのは日記をつけることだ。頭痛があった日の行動や食事などを記録し、何が痛みにつながりやすいかを知ることが重要だという。記録に便利な「頭痛ダイアリー」も日本頭痛学会のホームページからダウンロードできる。

最近では、不安障害など心の病気の治療にも使われているリラックス方法が注目されている。「バイオフィードバック療法」といい、頭痛にも関係すると考えられている首の筋肉の緊張度合いを測って、力の抜き方を学ぶという手法だ。海外では、薬による治療と同等の効果があると報告されている。「リラクゼーション外来」など、この手法による治療を進めている病院も出てきた。

頭痛外来がある猫協医科大学神経内科の平田幸一教授は「ストレスや生活リズムの乱れなどで痛みが増幅されている人もいる。予防薬を使いながら、一つずつ刺激になることを取り除いていけば、薬をやめられる人もいるので、生活や環境の改善も重要」と話している。

-朝日新聞より-

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