広島市中区の耳、鼻、喉の専門医、耳鼻咽喉科、アレルギー科、呼吸器内科

杉本クリニック便り Vol.101

ご挨拶

院長 医学博士 杉本 一郎

杉本 嘉朗

 過ごしやすい秋がやってきました。この時期に注意したいのが、ダニです。ダニは刺すだけでなく、アレルギーの原因物質「アレルゲン」となって、気管支喘息や鼻炎、皮膚炎、結膜炎などを発症・悪化させます。
家にいる「チリダニ」 の体長は0・5ミリ以下で、肉眼ではほとんど見えませんが、どんなに清潔にしている家でも、ダニはいると考えてよいでしょう。25~30℃、湿度60%以上の高温多湿を好むため、繁殖のピークは梅雨から夏の時期で、人のフケや垢、ペットの毛、ほこりなどをエサにあっという間に増えていきます。
寿命は2~3カ月なので、夏に増えたダニの死骸や脱皮した殻、ふんなどが秋には溜まりやすく、これが健康にとって問題です。死骸やふんなどは生きているダニよりさらに非常に小さく、ほこりとして舞いやすくなります。これを吸い込んで人の体内に入ると、アレルゲンとなり健康被害につながります。
そこで大切なのが、ダニを「増やさない」「駆除する」対策です。特に力を入れたいのは、温かく「エサ」が豊富な寝具の対策。掛布団、敷布団は掃除機や布団クリーナーなどで吸引します。シーツやカバーなどはこまめに洗濯し、ダニのふんなどを洗い流します。乾燥機にかければなおよいでしょう。乾いた後にも掃除機をかけて、残ったふんなどを吸い取ります。毛布や布団などは、天日干しだけではダニが死なないことも多いので、丸洗いできれば効果的です。
天気の良い日は換気し、クローゼットや押し入れは隅まで掃除機をかけます。夏の間しまってあった衣服は、一度洗ってから着れば安心です。毛足の長いカーペットや、布製のクッションやソファ、ぬいぐるみなどもダニの温床になりやすいので、丁寧に掃除機をかけたり水洗いしたりします。掃除機は、ゆっくり丁寧にかけるのがコツです。


今号の内容

詳細は「杉本クリニック だより」をご覧下さい

  • 高齢者の4割以上が難聴!?
    コミュニケーション不足の原因は難聴かも

  • そうだったんだ 体のしくみ
    皮膚の働き編
  • 初めての介護サービス
    お金は、どれくらいかかるの?
  • お薬百科 医療機関で処方される薬を知ろう
    脂質異常症治療薬編
  • なるほど納得! すぐに役立つくらしの科学
    「アルミ缶とスチール缶 2種類あるのはなぜ?」他
  • 一口病気解説
    「顔面神経痛」

杉本クリニックだよりは窓口で無料でお配りしています。


 

コミュニケーション不足の原因は難聴かも

高齢者の4割以上が難聴!?

聞き返すことが多くなった、テレビの音量を大きくし過ぎると言われる-家族や自分にこんな状況が増えてきたら、聴力に問題があるかもしれません。今回は、加齢や大きな騒音などによって起こる「難聴」とその対策について解説します。

監修 岩手医科大学医学部耳鼻咽喉科教授 佐藤宏昭氏

難聴は、会話など周囲の書が聞き取りにくい状態のこと。難聴の程度が高いほど、より大きな音も聞こえにくくなります。
日本聴覚医学会の分類では、聞こえる最も小さい音量が25db(デシベル)以上40db未満を「軽度難聴」、40db以上70db未満を「中等度難聴」、70db以上90db未満を「高度難聴」、90db以上を「重度難聴」としています。「db」は音の強さを表す単位です。
25dbはささやき声程度、60dbは普通の会話程度の音量です。ですから、25dbの軽度難聴があると、ささやき声では聞き取るのが難しくなり、60dbの中等度難聴だと、近づいて大きめの声で話しかけないと会話が成立しないことになります。

最もポピュラーな「加齢性難聴」65歳以上の4割超が当てはまる

国立長寿医療研究センターが2008年から2010年にかけて実施した老化に関する調査によると、25db以上の難聴者の割合は65歳以上では急増し、加齢とともに増えていきます(図1)。
加齢による難聴は年単位でゆっくり進行していくので、本人は気付かないことも多く、他人が指摘しても聞こえが悪いことを認めない場合が少なくありません。
加齢による聴力の低下は通常、左右同程度で、高音ほど聞こえが悪くなります。蚊の羽音や腕時計の秒針の音などが聞こえにくくなりますが、会話の音域の聴力は比較的保たれるため、本人の自覚はあまりありません。しかし、「サ行」「タ行」などの子音はしだいに聞こえにくくなります。
「加齢性難聴」は、残念ながら回復することはありません。薬などによる治療手段はありませんが、中等度から高度の難聴では補聴器を使うことが勧められています。

騒音で起こる「騒音性難聴」大音量なら一瞬で不治の難聴になる場合も

非常に大きな吉を聞くことで起こるのが「騒音性難聴」です。
もともと、建設労働者や航空機の整備士など、作業に伴う騒音で起こる障害として対策が進められました。わが国や米国など多くの国では、1日8時間に平均して浴びる騒音の許容限度を85dbとしています。
耳への障害の程度は、騒音を浴びた時間と騒音の大きさ(エネルギー)に相関することがわかっています。騒音の大きさが3db上がるとエネルギーは2倍になるので、88dbの騒音だと4時間が限度、115dbならわずか30秒で1日分の許容限度に達してしまいます。激しいロックコンサートなどがこのレベルで、2時間のコンサートを聞くと、85dbの環境で1年間勤務したのと同程度のダメージを耳に与えます。
近年、騒音による耳への障害で注目されているのが、スマートフォン(スマホ)を含む携帯型のオーディオプレーヤーです。
世界保健機関(WHO)と国際電気通信連合(ITU)は2019年2月、週に40時間(1日6時間)聞く場合、大人なら80db、子どもなら75dbが限度とする基準を発表しました。若い頃、ロックやフォークを楽しんだ世代が60~70歳になっていますので、高齢者も音楽の音量には注意したほうがよさそうです。

前触れなく聞こえなくなる「突発性難聴」

ある時突然、耳の聞こえが悪くなるのが「突発性難聴」です。この病気が発見されてから半世紀経ちますが、いまだに原因ははっきりしていません。血行障害や感染が原因ではないかと推測されています。約3400人の突発性難聴患者さんを対象として行われた大規模な研究によると、患者さんの6割が60db超、つまり目の前で話しかけられても聞こえないレベルの難聴を体験していました。また、治療により41.2%は完全に回復し、16.3%は症状が顕著に改善したものの、42.5%は改善はわずか、あるいは全く回復しませんでした。
ほかの病気による難聴の可能性もありますので、急な難聴が起こった時は、すぐに耳鼻咽喉科や、かかりつけ医を受診するのがよいでしょう。

”治る”治療は難しく補聴器を付けるのがベスト

加齢性難聴など多くの難聴は、元の状態に回復することは望めませんが、補聴器をつけることで、「聞こえ」を改善することができます。
 近年、補聴器はほぼデジタル方式に切り替わっていて、言葉の聞き取りを改善するためのさまざまな機能を備えています。ただし、視力なら眼鏡をかけるとただちに改善しますが、補聴器はつけてもすぐに正常に聞こえるわけではなく、調整と慣れが必要です。 また、価格も眼鏡に比べるとずっと高く、デジタル式の場合、1個あたり10万円から。小型のものほど高価で、耳穴に収まるオーダーメードのものでは30万~50万円にもなります (図2)。
難聴の程度がより重度で、補聴器をつけて調整しても聞き取りが50%未満といった場合には、人工内耳を使うという手段もあります。人工内耳は、内耳の中に音を電気刺激に変える電極を植え込み、聴覚神経を刺激する仕組みです。先天性の高度難聴の子どもに聴力を取り戻す方法として注目されていますが、高齢者の手術例も増えています。
人工内耳は医療保険でカバーされますが、費用が高額なため、高齢者への装着に議論があるのは事実です。しかし、手術後の聞き取り力の改善は高齢でも遜色はありません。「難聴者は認知症になりやすい」とする研究結果も報告されていますので、メリット、デメリットやコストを考えて手術するかどうかを決めることになりそうです。

予防は騒音から耳を守ること

耳垢が詰まって聞こえが悪くなった場合には耳垢を取り除けば聴力が回復しますが、加齢や騒音などによって内耳の細胞が損傷して起こる難聴は回復が望めません。
特殊車の運転や建設作業などの仕事場ではもちろん、音楽会やスポーツ観戦、木工などのレクリエーションも含め、騒音が激しい場所に行く場合は、耳栓や、ノイズキヤンセリングイヤホンなどを装着したり、可能ならそうした場所に行く回数を減らし、騒音から耳を守ることが難聴の予防になります。
また、家族の誰かが、話が通じにくい、テレビの音を大きくするといった変化が見られた場合には、かかりつけ医や耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。


初めての介護サービス

初めての介護サービス

お金、手続き、情報の集め方・・・

高齢化ずくが倒れたら、どうしますか?
ある日突然やってくる「介護」の不安に備えておきましょう。

監修
早稲田大学人間科学学術院
健康福祉科学科 教授 植村尚史氏
京都大学法学部卒業後、厚生省(当時)入省。内閣法制局参事官、厚生省保健社会統計課長、社会保険庁企画・年金管理課長、国立社会保障・人口問題研究所副所長を経て、2003年4月から現職。著書に『〔図説〕これからはじめる社会保障』『若者が求める年金改革』など。

お金はどのくらいかかるの

  介護サービスは、介護保険制度を利用して受ける公的なサービスです。手続きをして市区町村から認定されると、要介護度に応じたサービスを利用できます。自宅にヘルパーが来てくれる「訪問介護」や施設に通って食事や入浴、リハビリなどのサービスを受ける「適所介護(デイサービス)」、介護老人福祉施設に一時的に宿泊する「短期入所生活介護(ショートステイ)」などがあります。車椅子などの福祉用具をレンタルすることもできます。
これらのサービスを利用すると費用は、いくらかかるのでしょうか。
今回は在宅サービスを利用した場合について説明します。

利用限度額と自己負担割合

介護サービスの利用上限額は、要介護度によって決められています(図1)。介護度の横にある項目の「支給限度額」が1カ月の上限です。超えた差額分は、全額自己負担となります。
実際に払うのは、その横の自己負担額の欄です。
1割、2割、3割の自己負担割合は、収入によって決まります。単身世帯の場合、年金などの収入が概ね280万円以上なら2割負担、340万円以上だと3割負担です。それ以外は1割負担です。3割負担は負担能力に応じた負担を求める観点から見直しを行い、2018年8月から導入されました。
負担割合は、実際に要介護認定を受けると「介護保険被保険者証」と一緒に送られてくる「介護保険負担割合証」でわかります。サービス利用時などに求められれば、その都度、提示する必要があります。また、自己負担割合は、毎年見直しがあります。毎年7月頃に新しい保険証が送られてきます。

各サービスの自己負担額の目安

介護サービス費用は、正式には「介護報酬」と呼ばれます。費用は、厚生労働省がサービスごとに決めている単位をもとに計算します。1単位=10円が基本です。
訪問介護で身体介護(排泄介助など)をお願いした場合の1回の費用は、20分以上~30分未満248円、30分~1時間未満394円です(図2)。一般的な調理や買い物、掃除などの生活援助は、20分以上~30分未満181円、45分以上223円(いずれも1割負担の場合、要介護1~5で共通)。
適所介護(デイサービス)は、要介護3で1回883円(1割負担)です。要介護1だと645円、要介護5で1124円。昼食代は介護保険サービス外になるので全額自己負担。施設にもよりますが、700円前後です。
介護している家族が病気や用事などの時に利用する「短期入所生活介護(ショートステイ)」 では1割負担だと1泊1000円以下です。ただ、日常生活費(食費、宿泊費など)は別途自己負担になります。
詳しくは、最寄りの地域包括支援センターにお問い合わせください。


お薬百科 医療機関で処方される薬を知ろう!

脂質異常症治療薬

脂質異常症は血液中に含まれる「脂質」の中で、コレステロールや中性脂肪(TG‥トリグリセライド)が多く、基準値を超える状態です。
血液中のコレステロールや中性脂肪の濃度が基準値を超える状態が続くと、動脈の内側の壁にどろどろした固まりが付着して次第に厚くなり、血液が流れにくくなる上、血管が硬くなる動脈硬化を引き起こします。動脈硬化になると狭心症や心筋梗塞や脳卒中など、生命に関わる心血管疾患に罹るリスクが大きくなります。中高年までは男性に多い異常ですが、女性でも閉経後には多く見られるようになります。
次に、医師から処方される主な脂質異常症治療薬の種類を紹介します。

スタチン
スタチンは、ある酵素の働きを抑えることで肝臓で作られるコレステロールの量を減らします。すると、体内で利用するコレステロール量を保つため、血液中から肝臓へLDLコレステロールを取り込む働きが盛んになり、血液中のLDLコレステロールが減少します。日本では、6種類のスタチンが処方されています。

PCSK9阻害薬
注射薬で、日本では2剤が保険適用になっています。血液中から肝臓へLDLコレステロールを回収する役割を果たしている「LDL受容体」を増やす働きがあります。

陰イオン交換樹脂
胆汁酸排泄促進薬とも呼ばれ、日本では2剤が処方されています。
胆汁の成分である胆汁酸はコレステロールから作られます。陰イオン交換樹脂は胆汁酸と結合して、便として排出されるため、コレステロールが不足して、肝臓でLDL受容体の合成が盛んになり、血中のLDLコレステロールを減らします。

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
食事や胆汁に含まれるコレステロールの小腸粘膜での吸収を抑えることで、血中の総コレステロール濃度を減少させる薬です。日本ではエゼチミブが保険適用となっています。エゼチミブとスタチンを含む配合剤もあります。

フィブラート
細胞の中で脂肪を酸化する働きを促進することで、血中の中性脂肪(TG)を減少させます。このほかHDLコレステロールを増やす作用や炎症を抑える作用があり、動脈硬化を抑制する働きを持っています。

ニコチン酸誘導薬
末梢組織での脂肪の分解を低下させることで肝臓に脂肪酸が入るのを抑え、中性脂肪を低下させます。ほかにもさまざまな作用によってLDLコレステロールと中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やす働きを持っています。

プロブコール
胆汁への排泄を促進することでコレステロールを減少させる薬です。LDLコレステロールだけでなくHDLコレステロールも減少させます。

多価不飽和脂肪酸
健康食品などでもなじみ深いEPAやDHAを含む薬です。脂肪酸の合成を抑制し、逆に脂肪酸の異化 (代謝)を促進するなどの働きにより、中性脂肪を減少させます。

脂質異常症の治療では、異常の程度や症状はもちろん、年齢や本人・家族の病歴、生活習慣などによって、治療方針を決めることになっています。生活習慣指導を含め、医師とよく相談して治療に臨みましよう。

一口病気解説 顔面神経麻痺

顔の筋肉を支配している神経に障害が起こり、麻痔の症状がみられる病気です。
額にしわを寄せられない、目を閉じることができない、口がうまく動かせない、水を飲むと口からこぼれる、表情がゆがむなどの症状がみられます。
顔面神経は味覚に関係しているため、味覚障害を起こすことがあります。ほかに、涙や唾液の分泌に異常が出たり、聴覚が過敏になって音が響いて聞こえたり、耳に痛みが出ることなどもあります。
最も多いのは、「ベル麻痔」 と呼ばれるもので、年齢・性別に関係なく起こります。原因はよくわかっていませんが、単純ヘルペスウイルス感染との関係と考えられています。動脈硬化、高血圧、糖尿病などの病気や、疲労、ストレス、かぜ、妊娠などが引き金になることもあります。
また、帯状癌疹ウイルスの感染による顔面麻痔を、「ラムゼイ・ハント症候群」といいます。この場合は、耳に強い痛みを伴う水癌ができるのが特徴です。
そのほか、腫瘍や脳卒中、外傷などによっても、顔面神経麻痔が起こることがあります。
顔面神経麻癌の治療には、ステロイドや抗ウイルス薬、消炎鎮痛剤、ビタミン薬などの薬物治療を行います。また、神経を修復するための手術を行うこともあります。その他、専門家の指導の下に行う顔面マッサージや顔面エクササイズ、リラクゼーション、鍼灸治療などが効果的な場合もあります。

健康・医療のヒント

耳鼻咽喉科、アレルギー科、呼吸器内科 TEL 082-241-4187 月曜日午前中のみ 9:00~11:30
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