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終末期の治療 中止も選択肢

終末期の治療 中止も選択肢

胃ろう・人工呼吸 学会が原則改定

高齢者の終末期医療とケアについて、日本老年医学会は28日、胃に菅で栄養を送る胃ろうなどの人工栄養や人工呼吸器の装着は慎重に検討し、差し控えや中止も選択肢として考慮するとの「立場表明」をまとめた。最新、高度な医寮をすべて注ぎこむことは必ずしも最善の選択ではないと判断した。表明の改定は11年ぶり。

立場表明に拘束力はないが、高齢者医療に携わる医師が治療方針を考える際の基本原則とするもの。
まず、高齢者の終末期における「最善の医療およびケア」を「必ずしも最新もしくは高度の医療やケアの技術すべてを注ぎこむことを意味するものではない」と明記。高齢者の心身の特性に配慮し「残された期間の生活の質(QOL)を大切にするものだ」との考えを示した。
その上で、高齢者が最善の医療およびケアを受ける権利の一環として「(おなかに穴を開け、管を通して水分や栄養剤を胃に送る)胃ろう造設を含む経管栄養や気管切開、人工呼吸器装着などの適用は慎重に検討されるべきだ」と指摘した。具体的には「本人の尊厳を損ねたり、苦痛が増えたりする可能性があるときは、差し控えや撤退を考慮する必要がある」と記した。

また、苦痛を緩和したり、死への恐れを軽減したりして、残された期間のQOLを高めるためにも、がんで用いられる緩和医療やケアの技術が用いられるべきだとしたく痛みや苦しみを和らげるための麻薬や最低限度の点滴の使用などを想定している。
高齢者はがん以外に、認知症、心不全、呼吸不全などの病気を患うことが多いが、「死の最終局面では、がんと同じように苦痛を伴うことが少なくない」からだ。

「終末期」の考え方、定義についても整理した。終末期は従来通り「病状が不可逆的かつ進行性で、可能な限りの治療でも病状の好転や進行阻止が期待できず、近い将来の死が不可避となった状態」としている。ただし「高齢者は複数の病気や障害を併せ持つことが多く、余命の予測が困難」として期間は設けていない。

胃ろう 使わぬ選択肢も 延命効果 考える時間が不可欠

口から十分な栄養をとることが難しくなった高齢者に栄養を送る胃ろうなどの人工栄養法について、医療や介護の現場で働く人向けの指針試案が出ました。延命ともからみ、高齢の患者や家族、介護現場にとって、難しい問題です。試案の要点と課題をまとめました。

Q 胃ろうとは?

A ロから食べたり、飲んだりするのが難しい時、おなかに穴を開けて胃へ管を入れ、栄養をとる方法だ。
推定40万人が使い、高齢者が多い。内視鏡で手術が十数分で可能になり、鼻から管を通すより患者の不快感がない。時間をかけて食事介助しなくても十分な栄養がとれて「介護負担が減る」とされ、介護保険が始まった2000年ごろから急速に広がった。

Q なぜ問題に?

A 高齢の患者本人や家族から疑問が出てきた。飲み込みにくくなると、食べ物が気管や肺に入ってむせたで肺炎を′繰り返したりする。「安心して十分な栄養や水分をとれる」などと医師に胃ろうを勧められたのに、むせや発熱がおさまらないことがあり「こんなはずでは」という家族の声が聞かれるよう

になった。
胃ろうの導入にかかわった医師への調査では、44%が導入後の中止経験があった。医学的な理由が最も多いが「家族が強く望んだ」「患者の背痛を長引かせる」もあった。

Q 試案に「使わぬ選択」を盛り込んだ意味は?

A 生命維持の効果がない場合、維持できても苦痛を与えるだけで人生の益にならない場合、苦痛なく次第に衰え自然に死へ向かっている場合で、本人も家族も胃ろうを望まないなら、しない選択を共に考えようということだ。導入が適当な場合も示した。残された能力を改善し、よりよい生活が実現されそうな場合、もう少し生が延びることが本人の人生にとってよいと家族も考える場合だ。

Q 説明も大切だ。

A 試案でも、本人の意思確認が必要な内容は、早い時期から本人や家族と一緒に話し合うよう促した。家族らへの調査では、説明からつけると決めるまでの期間は「説明の後すぐ」が4割を占める。本人や家族が十分に考える時間がないのが実情だ。
また時間や状態の変化で「よかったのか」と迷うこともある。試案は一度決めた決定に本人や家族が縛られないよう配慮することも明

記し、中止もできるとした。

Q 高齢者の意思確認は難しくないか?

A 特に認知症の場合だ。十分な判断力があるときに書面や口頭で確認しておけば、症状が進んだ後も意思を推測できる。ただ、アルツハイマー型はかなりの年月をかけて進行するとされ、その間意思が変わらないかという問題がある。試案は「認知症が進んだ段階でも、対応できる力に応じて本人にも説明し気持ちを大事にする」とした。

Ql試案の課題は?

A 指針は来春にも日本老年医学会で決まる。胃ろうを選ばないとき、可能な範囲で無理なく口から食べる医療・介護技術の向上も必要だ。意思の確認方法の具体化も求められる。

人工栄養法の指針試案

 

■高齢者ケアと人工栄養法の主な考え方

□人工栄養法を導入しない選択肢も示す
口生命維持だけでなく、人生も含め、本人の益になると判断できるときは、最適の方法を選ぶ
□本人の益にならないと判断できるときは導入しない
□人生の完結に有益なときの導入は妥当
□導入後の中止・減量もありうる
□家族の都合で本人の生の長さを決めない
□医療・介護側は、本人・家族とのコミュニケーションを進める

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2011年12月23日朝日新聞他

終末期 脱「胃ろう」進む

広島県の基幹病院 件数2年で35%減

病気などで食べられなくなったときに胃にチューブで栄養を送る「胃ろう」を、終末期に利用する患者が減っている。広島県内の基幹病院32病院では、2012年度の胃ろうの造設手術の件数は計1070件で、2年前より588件(35.5%)減少したことが15日、中国新聞の調べで分かった。

望まぬ延命に拒否感

広島県の基幹病院件数2年で35%減望まぬ延命に拒否感胃ろうは優れた栄養補給法として高齢者を中心に急速に普及してきたが、一度近設すると栄養補給の中止が難しい。意識がなくなり延命を望まない状態になっても、長期間生き続ける状況が生まれかねない。医療機関や介護施設で、胃ろうによる終末期の延命を選択しない人が増えている。

県内の公立病院とJA、済生会などの公的病院計32病院に10~12年度の胃ろうの造設手術件数を尋ねたところ、10年度は計⊥658件▽11年度は計1422件で、年々減少。9割の29病院で、12年度の件数が10年度より減っている。
12年度の件数が最も多かった国立病院機構28・2%減。JA広島総合病院(廿日市市)は104件で30・2%減。このほか、福山市民病院(福山市)は12件で72・7%減、JA吉田総合病院(安芸高田市)は29件で59・7%減と、大きく減った。
市場調査会社アールアンドディ(名古屋市)によると、メーカーが全国に出荷した造設キット数は10年前から増加傾向が続いてきた。しかし、12年は11万3100セットで、前年より14%減った。

胃ろうの普及に取り組んできた「広島胃瘻と経腸栄養療法研究会」の代表幹事を務めるJA広島総合病院の徳毛宏則副院長は「胃ろうは正しく使えば再び食べるための支援になる。しかし、安易に造設すると望まぬ延命にもつながる。患者や家族が判断するための情報提供をしっかりするべきだ」と話している。

問い直される役割

胃ろうが減少したのはそのその役割は何か、見つめなおす人が増えたからだろう。
本来フタタ部食べられるようになるまで栄養面で支えるなど生活の質を向上させることが目的。約15分の内視鏡手術で簡単に増設でき、ほかの人工栄養法より患者の苦痛や負担も小さい。2000年ごろから広がった。

全日本病院協会は10年の利用者を約26万人と推定する。しかし、利用者の4割は85歳以上。老衰でたべられなくなったために使う患者が増えた。意思疎通ができなくなり家族が「もう逝かせてあげたい」と思ってもなお、胃ろうによって人生の幕を閉じられない場合もある。それは本人が望んだ姿だろうか。
「尊厳を損なう可能性がある」として、日本老年医学会は昨年1月、高齢者の終末期の胃ろうなど経管栄養の導入は「慎重にすべきだ」と立場表明。

自然に任せて穏やかに死ぬことを進める医師の著作も相次ぐ。終末期の延命への意識が転換期を迎えている。

-中国新聞-2013年6月16日より

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