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新型ワクチン効果 研究途上

「新型インフルエンザ」ワクチン効果 研究途上

日本経済新聞 2008年6月1日健康欄より

人が免疫をもたない新型インフルエンザは、毎冬流行するインフルエンザとは違い、感染し発症すると高い確率で命を落とすと恐れられている。被害を最小限に食い止めるため、政府は発生前にワクチンを事前接種する考えを打ち出した。安全性や有効性に問題はないのだろうか。

「ワクチンを打ちたいが……」。新型インフルエンザへの関心の高まりを受け、厚生労働省にはこんな問い合わせが相次いでいるという。日本経済新聞社が実施したアンケート調査でも、事前接種を「受けたい」と回答した人が六五%いた。

鳥インフルエンザのウイルスが人にうつりやすく変異して出現するとされる新型インフルェンザ。大流行すれば日本人の四人に一人がかかり、六十四万人が死亡するとの政府試算もある。

ワクチン効果研究途上

発熱や呼吸器障害にとどまらず、免疫の異常反応による多臓器不全も起こす。高齢者よりも免疫の活発な若者のほうが症状が重くなるともいわれている。

感染を避けるにはどうしたらよいのか。主に飛沫(ひまつ)感染するため、人込みをなるべく避け、外出時はマスクを着ける。帰宅後には手洗いを徹底するなど通常のインフルエンザ対策も、ある程度は有効だ。

予防への切り札と期待されるのがワクチン。政府は新型ウイルスへの変異が最も懸念される鳥インフルエンザウイルス「H5Nl型」をもとに作った「プレハンデミック(大流行前)ワクチン」を二千万人分備蓄済みで、事前接種の検討を始めた。

しかし、まだ一般の人は接種を受けることができない。実は効果が十分に分かっていないからだ。今年度は九月ごろから約六千四百人に事前接種するが、これはあくまで研究という位置づけで、医療関係者や検疫官らを対象とする。責任者を務める国立病院機構三重病院の庵原俊昭院長は四つの狙いを説明する。

まず一番目に確認するのが安全性。重い副作用が起こらないかどうかを調べる。

第二の狙いはワクチンの材料となったウイルスとは別の地域で流行するウイルスにも効果があるかどうかをチェックすること。「交差免疫」と呼ぶ作用だ。

期待先行だけど・・・事前摂取に賛否

通常のインフルエンザでも毎年、遺伝子の異なる新しいウイルスが登場し、前年のワクチンは効きにくい。H5Nl型も遺伝子が頻繁に変異し、地域ごとに多くのタイプに枝分かれしている。国産ワクチンの材料となったのはベトナム、インドネシアと中国・安徽省で採取されたウイルス。これら以外から新型インフルェンザが登場した場合はワクチンに効果が期待できない可能性が出てくる。

免疫の持続期間も調べなければならない。通常のインフルエンザワクチンだと約半年だが、今回のワクチンでどのくらい続くのか分かっていない。

庵原院長が「今回の研究で最も重要」と位置づけるのが「ブースター効果」の検証だ。

免疫の記憶

人の体内に病原体が入り込むと、時間がたって免疫の効果が薄れても、病原体が侵入したという「免疫の記憶」が残り、もう一度同じ病原体が入り込んだときは前回より強く抵抗力が発揮される。これがブースター効果だ。

はしかに一度かかると生涯にわたって発症しにくくなるのはこの作用のおかげ。新型インフルェンザも同じ作用が働くかもしれない。

国産ワクチンは二〇〇六年に臨床試験(治験)が実施された。すでに接種した人たちに改めて接種し、ブースター効果をみる。

この効果があるとわかれば、国民みんなに事前接種しておく。新型インフルエンザ発生時、ハンデミックワクチンなどの接種が間に合わず感染したとしても、事前接種でできた「免疫の記憶」によって、症状をやわらげてくれる可能性があるという。

ブースター効果がなければ「事前接種はあまり勧められない」 (庵原院長)。仮に免疫の持続期間が半年程度ならワクチンを発生前に何度も繰り返し接種しなければならず、費用対効果を考えても現実的ではない。

新型インフルェンザワクチンは期待が先行気味だが、研究者の間でも評価が定まっていない。世界的にもまだ事前接種に踏み切った国はなく、「今は効果の高いワクチンの開発に注力すべきだ」 (けいゆう病院の菅谷憲夫・小児科部長)と事前接種の拡大に批判的な専門家もいる。

六千四百人を対象とした効果や安全性を最終確認する臨床研究の最終的な評価は、来年三月までにまとまる見通し。結果を慎重に見極める必要がある。

日本経済新聞 2008/0601健康欄より

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