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肺がん検診

肺がん検診

吉島病院 山岡直樹先生
(内科、(財)広島県地域保健医療推進機構肺がん専門医委員会委員長)

肺がんは、日本人のがん死亡原因の1位を占めており、がん死亡者数35万人のうち、約5人に1人が肺がんで亡くなっています。今回のキラリでは、愛煙家の皆様にとってもっとも気になる肺がんの検診について、山岡先生にお話をうかがいました。

◆肺がんとはどのような病気ですか?

肺がんとは、気管、気管支、肺胞にできるがんのことです。現在のところ、肺がんの原因ははっきりとはわがっていませんが、7割以上がタバコの影響があると言われています。
欧米では約30年前から禁煙指導が進められてきたため、近年は肺がんでの死亡者数が減っています。日本でも近年、禁煙志向が高まっていますが、現在のところ、肺がんによる死亡率は男性でトップ、女性で2番目となっています。これは、女性の喫煙者が減らないことや、禁煙をしても約10年は体にタバコの影響が残るためと考えられます。

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◆どんな人が肺がん検診を受けるべきですか?

肺がんにががる人は50歳代から急激に増えるため、40歳以上の方は年1回は肺がん検診を受けるべきでしょう。特にタバコを吸う人は、吸わない人よりも肺がんによる死亡リスクが高くなることから、50歳以上で、1日20本以上タバコを吸う習慣があるなどリスクの高い人は、医療機関で肺がんドックを受けることをお勧めします。

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◆検診はどのように受ければいいのですか?

職場で肺がん検診を受ける機会がある場合はその検診で充分です。職場での検診がない人や専業主婦などでも、40歳以上の方は年1回、各区の保健センターから送られてくる「検診のお知らせはがき」を持参すれば受診できます。受診を希望される方は、各区保健センターに電話で申請すれば案内が届くようになります。
肺がん検診対象者
広島市在住の40歳以上の方で職場などで肺がん検診を受ける機会のない方

費用
X線のみ400円(X線・喀痰900円)

受信場所
肺がん検診を実施している医療機関、各区で実施される広島市の集団検診、広島市健康づくりセンター

◆どのような検査をするのですか?

広島市の肺がん検診では、問診、胸部×線写真、必要に応じて喀痰細胞診(癖の検査 WordBox参照)を行います。肺がんドックなどでは、さらに低線量CT検査(Word Box参照)、場合によっては血液検査で腫瘍マーカーを調べます。

問診
最近の体調やがんの家族歴、喫煙状況などを質問します。

胸部X線写真
肺に影がないかを読影します。必要に応じて過去のX線写真と比較してみます。

喀痰細胞診
3日分の痰を提出してもらい顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。

低線量CT
放射線被ばく量の少ないCTで肺をぐるりと囲むようにX線の連続撮影をします。

血液検査(腫瘍マーカー)
採血をして血液内の腫瘍マーカー値を調べます。

◆陽性の結果が出たらどうしたらいいのですか?

肺がん検診で陽性と診断された場合は、「肺がんの疑いがある」ということですので、検査をした施設から指定された医療機関でさらに詳しい検査を行い、確定診断をします。肺がんが見つかった場合は、呼吸器科のある地域の医療機関で精密な検査を受け、がんができた位置や状態に合った治療に入ります。

◆肺がんになっても治療をすれば治りますか?

2cm以内でごく早期に発見された場合は、8割以上が完治します。しかし、肺がんは一般的に進行が早く、治りにくいがんです。胃や大腸のように内視鏡で直接的に観察したり、治療をすることが難しいため、つらい検査や手術などが必要となり、体への負担も大きくなります。
まずはがんをつくらないよう「禁煙」することを第一に、年に1回「肺がん検診」を受けて、できる限り早く発見し、治療できるように心がけましょう。

Dr.QA タバコと肺がん

Q.タバコを吸う人は吸わない人と比へてどれくらい肺がんになりやすいのてすか?

A.肺がんの多くはタバコが原因と考えられています。タバコを吸う人の肺がんの発生率は吸わない人と比べ男性で4.5倍、女性で4.2倍と言われています。

Q.タバコを吸う人の中でもとのような人が肺がんになりやすいのですか?

A.タバコを1日に吸う本数が多い程、吸い始めてから年数の長い程、喫煙開始年齢が早い程なりやすいと言われています。喫煙指数(1日の本数×年数)が600以上の人が高危険群と考えられています。

Q.タバコをやめわは肺がんにならないのですが?

A.タバコをやめれば肺がんの危険性は低下します。しかしやめてもすぐに低下するわけではなく、10年禁煙して、肺がん発生率は吸わない人の約1.4倍と言われています。ただし、やめておけば、たとえ肺がんになっても予後が良いと言われます。

Q.タバコを吸う人の家族に対してタバコの影響はどうなのてしょうか?

A.タバコを吸う人と一緒にいると副流煙といってフィルターを通さない有害物質の多い煙を吸うことになり(受動喫煙)、健康被害も甚大です。またタバコを吸う人の体には有害物質が付着していますので、分煙しても悪影響は残ります。受動喫煙は肺がんの発生リスクを20~30%増加させると言われています。大事な家族を守るた めにも禁煙が必要です。

Q.タバコを吸わない人ても肺がんになるのはなぜてすか?

A.よくわかっていません。個々の体質があるのか、環境因子や受動喫煙など他の外的要因があるのか不明です。しかしタバコを吸わない人の肺がんは進行が遅く、治癒する確率が高いようです。

Q.軽いタバコなら良いのですか?

A.軽いタバコでは、より深く吸い込むため末梢(肺の端のほう)のがんが増加します。軽いから良いというわけではありません。

Q.タバコは肺がんの危険性が高まる以外こも体に悪いのですか?

A.昨今、患者数や死亡者数が増えていることで注目されているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の原因のほとんどはタバコと考えられています。さらに肺の病気だけでなく心臓や脳の血管障害もタバコが助長します。タバコを1本吸うと寿命が5分30秒短縮するとも言われます。あなた自身のためにも、周囲の人のためにも直ちにタバコはやめるべきです。

 

Word Box:喀痰細胞診

癌の中にがん細胞がまざれて存在しているがどうかを見る検査です。喀出した癌を直接検査する直接塗沫法と3日分を容器にためて検査する蓄療法がありますが、通常検診で行うのは蓄療法です。
喀癌細胞診は胸部×繚写真やCTで発見しにくい中枢側(胸の中心あたり、肺門部)の肺がんの診断に有効ですが、喉頭がんなど肺がん以外のがんが発見されることもあります。
重喫煙者ではより中枢側の肺がんが好発しますので、検診時に胸部×繚写真と併用することで肺がん死亡率の減少効果が証明されています。痛みや被曝のない検査ですので、たくさんタバコを吸う人で、咳や癌の多い人、血 痕のある人は是非、喀癌細胞診をお受けください。
低線量CT

胸部CT検査は胸部を輪切りにした画像を撮影することで、胸部×線写真で見つけにくい場所のがんや胸部×線写真では判読できないような微小ながんの発見に有用です。
しかしCT検査では放射線被曝の影響が無視できません。そこで低線量CTといって被曝量をおさえて撮影するCT検査が行われるようになりました。画像は一般のCTと比較して劣りますが、肺がんの発見には支障のない程度に設定されています。CTで発見されたがんは早期のものが多く、治癒率も向上しています。
しかしまだ現時点では被曝や過剰診断などの問題もあるため、集団検診での使用は検討中であり、重喫煙者の方など、肺がんのリスクの高い人に個別検診としてお勧めすることが一般的と考えられています。

キラリVol33 Winterより(編集・発行 社団法人広島市医師会)

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