広島市中区の耳、鼻、喉の専門医、耳鼻咽喉科、内科、呼吸器科、アレルギー科

コンビニ受診救急限界

コンビニ受診救急限界

軽症急増身勝手な要求も

30代の救急医は今春、大阪府内の救急病院を辞めた。理想と現実との隔たりに「すり減った」という。疲弊の原因は、救急病院に夜遅くやって来る軽症患者らのわがままな振る舞いだ。
重症患者を優先して診ると、「待ち時間が長い」と責められた。「携帯の充電器は置いてないのか。家族に連絡できない」と怒られた。医学的に必要のない点滴や注射を要求する。断ればもめてさらに時間をとる。間違っていると思っても抗しなくなった。「何のために救急医になったのか分からなくなった」

救急搬送数は、96年の324万人が06年に489万人と5割増えた。増えた分の6割は、軽症者が占める。静岡県の焼津市立総合病院でも、時間外の救急患者が97年度の1万7千人から06年度に2万9千人へ7割増えた。軽症患者が殺到していた。「昨日から熱がある」「数日前に頭をぶつけた。痛くないが念のため検査を」
病院側が「緊急でないなら昼間の受診を」と促しても何度も夜間に来る常連。「夜だと待たずにすむ」と話す患者もいるという。

夜間休日は医師が少ない。当直医は一睡もできず、重症患者を診る余裕がなくなった。医師の呼び出しも増え、救急に疲弊した常勤の内科医が2人去った。今年3月には常勤医5人が退職。残った医師の負担はさらに増した。

対策を迫られた病院は、4月から、緊急でない患者の金銭的負担を重くして受診を控えてもらおうと考えた。6歳未満の子やぜんそく発作、生活保護受給者などを除き、要入院と診断された患者以外は時間外加算料に公的医療保険を適用せず、全額を患者負担にした。初診時の負担は260~1440円から850~4800円になった。
4月末現在、時間外患者数は前年の約6割。説明を聞いて受診せず帰る人もいる。「効果はまだ判断できない。元に戻ってしまえば別の対策も考えなくては」という。

理由は「仕事休めぬ」患者にも苦労

救急病院に「軽症患者」が押し寄せる理由は何か。身勝手な「コンビニ受診」ばかりなのだろうか。

杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)の協力で、平日の4月28日と休日の29日、救急外来に来た患者に受診理由などを尋ねた。回答した78人のほとんどは、受診そのものは必要と思われるケースだった。だが夜間休日でなければならなかったかといえば疑問符が付く。4割の30人は、発症したのが昼間の診療時間帯だった。

トラック運転手の男性(68)は平日午前、引っ越し作業中にトゲが指に刺さった。痛いのを我慢して仕事を終えた後、救急外来に来た。「仕事は途中で抜けられず、明日も仕事。客相手で休めない」看護師の女性は、2歳の娘を夜に連れてきた。前日からの熱が39度に上がったという。「有給休暇を使い切り、休めなかった。専門医のいる昼間の方がいいのは分かっているけれど・・・」

5日前に頭をぶつけ、検査を受けに来た金物工の男性(21)は「こんな軽い症状で仕事を休むなんて、上司に言えない」。
仕事と治療のどちらを優先するかの判断は人により異なる。労働環境が左右し、「働き過ぎ文化」も残る。60代の大学職員は、心筋梗塞と肺炎を起こしていたのに、夕方倒れるまで仕事していた。20代の男性は、インフルエンザによる高熱で吐き気もあるのに出動し、周りに「帰れ」と言われるまで働いていた。

杏林大医学部の山口芳裕教授(救急医学)によると、軽症と思って救急外来に来る患者のうち1割は重症。「患者が自己判断で受診を控えるのは危険もある」と指摘する。24時間活動する社会に呼応し、時間外受診はさらに増えるとみる。「夜間休日に診る医療機関を増やす一方、救急病院では緊急性の高い患者が優先されるという認識を患者ももってほしい」と話す。

対策はまず看護師が優先度判断

治療の緊急度を看護師が判断し、後から来た患者でも緊急なら優先的に診察する。そうした「トリアージ」のルールを決めたのが、子ども専門病院の国立成育医療センター(東京)の救急センターだ。

専用の部屋に通され、看護師が親から症状を聞く。体温や心拍を測り、「蘇生」 「緊急」「準緊急」「非緊急」の4段階で判定。緊急以上だと15分以内に診察。準緊急以下は、救急搬送でも待合室で待つ。

7日夜の待合室。腹痛の女児(8)は「非緊急」とされ、待っていた。そこに、呼吸が荒く肩で息をしている男児(1)がやって来た。判断は「緊急」。20分前からいた女児より先に診察室に入った。女児の母親は「重症の子が先なのは仕方ない。うちの子も看護師さんが診てくれたので心配はありません」。

06年にトリアージを受けた3万8500人のうち、15分以内に診察が必要だったのは1割。救急搬送された患者でも3割にとどまった。02年の開始当初は、順番を抜かれた側から苦情が続出したが、今はほとんどないという。林幸子副看護師長は「緊急度の高い子が待合室に埋もれる心配はなくなった」と話す。安易な救急車利用の抑制と適切な受診を促そうと東京消防庁は去年6月、電話相談「♯7119」を都内向けに始めた。今年3月末までに計22万3千件。開始後も119番通報は微増したが、同庁は「増加を減らす効果はあった」と評価、続ける方針だ。

子どもの急変について電話相談できる「♯8000」は今、富山、鳥取、長崎、沖縄を除く43都道府県にある。 市民側の動きもある。昨春、兵庫県立柏原病院にかかる子の母親らがつくった「小児科を守る会」は、「コンビニ受診を控えよう」と地元住民に呼びかけている。

朝日新聞より

健康・医療のヒント

耳鼻咽喉科・内科・呼吸器科・アレルギー科 TEL 082-241-4187 月曜日午前中のみ 9:00~11:30
休診日 日曜日・祝日

健康・医療のヒント

PAGETOP
Copyright © 杉本クリニック All Rights Reserved.