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難聴治療 幅広がる

難聴治療幅広がる

◆補聴器・人工内耳が進化

難聴の人たちを支える補聴器や人工内耳は、進化している。これまで使えなかった人にも可能になる補聴器や、残っている聴力を温存できる人工内耳も登場した。これらの機器は、個々の状態にきめ細かく対応できる性能を目指している。

◆埋め込み式音質良い

東京都の女性(43)は、外耳遭閉鎖症で生まれつき右耳がほとんど聞こえなかった。耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳道がふさがってしまう病気だ。
耳に入った音は、外耳道を通って鼓膜を振動させ、中耳、内耳と伝わるり内耳にある蝿牛で電気信号に変わり、聴神経を通って脳に伝わっている。外耳や中耳に問題があると内耳に青が届かず、難聴になる。
女性は、耳の穴に入れるタイプの一般的な補聴器は使えなかった。片耳だけでは、どの方向から音が聞こえているのかはっきりせず、車にはねられそうになったこともあったという。
耳の穴に入れるのではないタイプの補聴器が、日本でも医療機器の承認を目指して臨床試験(治験)が始まっていることを知った。

参加したくて虎の門病院(東京都港区)を訪ねた。2007年、ドリルで耳の後ろの頭蓋骨に穴をあけ、チタン製の端子を埋め込む「骨固定型補聴器(BAHA)」の手術を受けた。全身麻酔で約1時間。検査も含めて約10日入院した。
骨と端子が結合するまで3カ月ほどかかる。その後、音を振動に変える装置を端子に取り付けると、骨が震えて内耳に直接伝わり、音が聞こえる。女性は「音がかたまりになって聞こえてくる感じ。世界が変わったようだった」と振り返る。
骨を振動させる補聴器はこれまでもあったが、ヘアバンドなどで機器を頭に固定し、皮膚の上から震わせるタイプだった。頭が圧迫されて痛く、目立つのであまり普及しなかった。

BAHAは内耳に振動が直接伝わるので音質がいい。昨年1月に公的医療保険の適用になった。治療費はそれまで100万円ほど必要だったが、原則3割負担になった。高額療養費制度を使えば、さらに負担は軽くなる。局所麻酔で日帰りも可能という。
保険が認められるのは、外耳道閉鎖症や、中耳にある骨が硬くなる耳硬化症、慢性の中耳炎などによる両耳の難聴。片耳の難聴は適用されない。年齢も18歳以上(外耳道閉鎖症は親の承諾があれば15歳以上)だ。いんこう
虎の門病院耳鼻咽喉科の熊川孝三部長は「通常の補聴器が使えない人にはメリットが大きい。今後、片耳が難聴の人も保険の対象に含めてほしい」と話す。

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◆残存聴力を守る利点

人工内耳は、内耳に障害があり、青を電気信号に変えられなくなった難聴で、両耳がほとんど聞こえない人が対象となる。蝸牛に電極を埋め込み、聴神経に直接、電気刺激を送る。
重い難聴でも、低音を聞き取る力が残っている人はいる。昨年9月、こうした難聴に対応できる「残存聴力活用型人工内耳(EAS)」が、厚生労働省に承認された。
高音を聞く腑牛の入り口近くには電極で電気刺激を送り、低音を聞く部分には補聴器のように青を増幅させて聞かせる。耳の後ろの頭蓋骨に装置を埋め込み、そこからのびる電極を蝸牛に入れる。全身麻酔で7~10日の入院が必要になる。
マイクが内蔵された外付けの機械が周波数に応じて音を電気刺激にかえたり、増幅したりする。低音の聴力が落ちてきても、機械を調整して電気刺激に切り替えることで対応できる。
これまでの人工内耳は、蝸牛に穴を開けて電極を入れていた。蝸牛に負担がかかり、聴力が下がるリスクが高かった。EASは電極が細くて軟らかいため、狭い隙間から入れられ、聴力を温存しやすいという。年内にも公的医療保険が使えるようになる見通しだ。
信州大の宇佐美真一教授(耳鼻咽喉科)は「症状に合わせた治療ができるようになってきた」と話す。
治療後は少しずつ周波数などを調整しながら、半年ほどかけて聴力を改善させていく。神戸市立医療センター中央市民病院耳鼻咽喉科の内藤泰部長は「治療はスタートであってゴールではない。言語聴覚士らとともに行うリハビリも重要だ」と語る。

朝日新聞 2014年3月11日より抜粋

重度難聴児に豊かな音を 人工内耳で言葉習得

人工内耳で言葉習得

赤ちゃんは周囲の話し声を聞いて自然に音声言語(話し言葉)を習得する。このため生まれつき聴覚に重い障害があると言葉の発運が妨げられ、コミューテーションや学習など、さまざまな面で問題が生じてくる。そんな重度難聴児に音を取り戻してくれるのが人工内耳だ。音を増幅するだけの補聴器と遠い、内耳に挿入した電極で聴神経を直接刺激する。機器の性能は向上し、手術の低年齢化も進んでいる。

神戸市立医療センター中央市民病院の内藤泰・耳鼻咽喉科部長によると、両耳が難聴の子どもは約1000人に1人。遺伝やサイトメガロウイルスの母子感染、内耳奇形などが原因だが、理由がわからないものも4分の1ほどある。

多くは新生児聴覚スクリーニング検査で見つかるが、任意検査のため受診率は60%にとどまる。検査打うけなかった場合、親は「おとなしい子」「よく寝る子」などと思い込み、なかなか難聴に気づくことができない。発見が遅れて一定年齢を超えると、話し言葉の獲得は難しくなる。

特に90デシベル(耳元で大声程度)以上でないと聞こえない重度難聴は、高出力補聴器も効果が期待できず、手話に頼るか人工内耳を使うしかない。

人工内耳は、耳に掛けたマイクで拾った音をデジタル信号に変換し、側頭部に付けた装置から頭皮下に埋め込んだ装置に無線送信する。頭皮下の装置がこれを電気僑号に変え、内耳の蝿牛に挿入した電極に送ると、聴神経が刺激されて脳で音が認識される。小型化が進み、騒音下でも聞き取りやすくなるなど、機器の健康保険の対象進化は目覚ましい。

手術には健康保険が使える。全身麻酔で2~3時間。感染や、顔面神経を傷つけてまひを起こすリスクがあるが、頻度は非常に低いという。手術後は聴覚や言語を発達させるため、言語聴覚士による訓練が行われる。

今年、手術の対象年齢が従来の1歳6ヶ月以上から1歳以上へと引き下げられた。「手術が早いほど言葉の習得に有利。将来の可能性も広がります。」と内藤さんは話す。

中国新聞 2014年6月30日より抜粋

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