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どうする高齢者医療

高齢者医療2つの方式

「突き抜け方式」「独立方式」高齢者医療、別建て財源でいい?

朝日新聞 2008.5.16「ニュースが分からん!」より

世代間対立解消へ「突き抜け」の考えも

futatunohousikiホ-先生 4月から始まった後期高齢者医療制度について、「うば捨て山」だという批判が出ておるな。

A 75歳以上の人だけを対象に別建ての医療制度を作り、後期高齢者がつかった医療費がわかるようにと、「独立方式」をとったことが主な原因だ。与党は制度の骨格を変える気はなさそうだから、「独立」という形そのものをめぐり、与野党の対立は続くだろう。

ホ 別の方式はあるのか?

A 現役サラリーマンは会社員OB、自営業者はそのOBの面倒をそれぞれみる「突き抜け方式」がある。

ホ どう違うんじゃ。

A 経緯をおさらいしよう。サラリーマンは現役時代、職場の健康保険組合や政府管掌健康保険に入っているが、退職して収入が減り、医療費がかさむようになってから市町村が運営する国民健康保険に移る。

ホ 年をとってから移るのが問題だったのか。

A 高齢者医療の負担が国民健康保険に偏るからね。実際、新制度に移る前、元歳以上の8割は、国保に加入していたんだ。そのため3月までは、「老人保健制度」といって高齢者の医療費を賄う共同事業があった。財源は、各保険制度がお金を出し合ってやりくりする仕組みで、高齢者の割合が低いところはど多く出してきた。でも、健保側などが「医療費を管理する責任者が不明確。負担が青天井になる」と言い出して、改革の機運が高まった。

ホ それで「独立方式」ができたのか。

A 高齢者の医療費を切り分け、収支の帳尻を合わせる責任を、都道府県の広域連合に負わせた上で、「誰がいくら出すか」をはっきりさせた。高齢者本人の保険料で1割、税で半分、現役世代が入る健保や国保からの支援金で4割だ。

ホ だから「みんなで支える」というんじゃな。

A だけど、現役世代が、年齢だけで切り離された高齢者に「支援金」を出す方が納得しにくく、かえって世代間対立をあおる面もある。現役世代が、同じような働き方をしてきた先輩を支えるためにお金を出す「突き抜け方式」の方が納得をえやすいという意見もある。二つの考え方について、対談をしてもらったよ。

高齢者医療理想型は

4月に始まったばかりの後期高齢者医療制度をめぐり、与野党の対立が先鋭化している。大きな論点は、75歳以上のお年寄りを独立させることの是非だ。この制度を「うば捨て山」と批判し、「突き抜け方式」を主張する堤修三・大阪大教授と、全額税で賄う「独立方式」を主張する広井良典・千葉大教授。旧厚生官僚出身の2人が、高齢者医療のあるべき姿をめぐって朝日新聞東京本社で意見をたたかわせた。

何が問題でしょうか。

堤 高齢者の医療が抑制される「うば捨て山」的になるのが確実な制度だ。財源の9割は、税金と現役からの支援金。公費は、国の膨大な借金を考えれば増やすのは難しい。現役の支援金も根拠が薄く、どこまで納得して負担してもらえるだろうか。

残り1割を加入者が負担するが、年金から天引きされる保険料は、元サラリーマンも自営業者も共通して受け取っている基礎年金(満額で月額6万6千円)の水準との見合いで1万円を超えるのは無理だろう。制度を運営する広域連合は市町村長らで構成され、選挙に響くので引き上げを嫌う。

財源調達がスムーズにいかず、全体の給付が増やせないとなると、高齢者が粗末な医療しか受けられなくなる危険性が高い。延び続けていた日本人の平均寿命も折り返し点に達するかもしれない。

与党が低所得者の負担減など見直し案を出していますね。

広井 制度の骨格の議論が不足している。65歳以上の高齢者の医療費は05年度には全体の51%を占めており、これをどう負担するのが、公平、平等かという基本論をする必要がある。そのために、できる限り簡潔な制度が必要だ。政府は今の制度を「負担関係が明確で透明性が高い」というが、税、現役からの支援金、保険料が入り交じるお金の流れが複雑で、非常に分かりにくい。保険と税という異質な原理が混在しているのが最大の問題だ。

保険は、給付と負担のある程度のバランスを求められるが、病気のリスクが高いお年寄りに保険原理をあてはめるのは困難だ。日本は社会保険をベースに、高齢者の約8割が国民健康保険に偏在する問題を、財政調整でやりくりしてきたが、複雑すぎて限界にきている。

どうすればいいのですか。

堤 政府も広井さんも「高齢者の医療費」を、やっかいもの扱いして外に出そうとする。その発想自体が「排除の論理」で、国民皆保険の精神に反する。 問題の根っこは何か。現役時代は職場で健康保険に入ってきたサーラリーマンが、退職後、市町村の国民健康保険に大量に流れ込み、医療費が過重になったことだ。この流れを断つ制度が必要だ。

そこで、サラリーマン生活が長く、それで食べていける厚生年金や共済年金の受給者が対象の「被用者年金受給者のための健康保険」を提案したい。現役サラリーマンが退職者全部をまとめて面倒をみる「突き抜け方式」だ。 保険制度は「かかった費用を、みんなで保険料を払って負担しあう」ことに納得を得られるかが重要だ。そのために、保険料のもとになる収入が「一定額以上のサラリーマン年金」という同質な集団で構成するのが合理的だ。
広井 うーん。堤さんの案は、非正規雇用を排除して「正社員の王国」をつくることにならないだろうか。雇用が流動化する中で、「職域」や「カイシャ」に直結した社会保険システムをつくるのは、時代に逆行する。

戦後日本は国家主導の経済成長の中で「大きな共同体としての国」という意識が社会保険を支えていた。この基盤がゆらぎ、年金も含め保険料の支払いが滞っている。高齢者医療は税で賄う制度とし、保険料はとらない。国民みなで支える発想だ。独立だから、税財源だからといって、医療がお粗末になるというのはおかしい。税を使って手厚くもできる。ひとえに人々の選択にかかっている。
堤 「正社員の王国」とおっしゃるが、非正規雇用のパートやアルバイトも厚生年金が受け取れるよう加入を拡大し、なるべく多くの人を「被用者年金受給者健保」に取り込む。それなりの年金がある人たちなので、保険料の負担能力も高い。その上で、退職後にこの制度のお世話になる現役サラリーマンからの支援も受ける。一方で、この健保への税金による補助は最小限にする。浮いたお金は国民健康保険に回し、低年金の高齢者や低収入の非正規雇用の人などの保険料負担を軽くしたり、保険料分の現金を支給したりするのに集中して使う。国保の「空洞化」こそが日本の皆保険制度の危機だからだ。
広井 年金天引きに反発が強いのは「老後の生活を保障するための年金なのに、そこから保険料をとるのは話が違う」という思いからだ。揺らいでいる現在の年金制度を前提に天引きするより、年金と医療はお金の流れを区別し、医療は税で賄い、保障を強化する方が安心感がある。基礎年金も税方式が妥当で、医療・年金・福祉を含めた社会保障全体のビジョンを考える必要がある。

そのためには、消費税を欧州並みの15%程度まで引を上げるのは避けられず、他の税財源も必要だ。社会保険を補完する税という位置つけではなく、国民が「どれだけのお金を社会保障に使うのか。そのための負担をするのか」という公共的な議論の場こそ、税による所得再分配ではないか。
堤 医療にかかっdivた分だけ消費税を上げるのは、政治や国民の増税アレルギーを見れば現実的でない。財務省が統制する一般財源から賄うとなると、医療費は出来高払いではなく、がっちりと枠がはまる。「究極のうば捨て山」になる恐れがある。 広井 政策決定プロセス自体を官庁から政治に移す時代だ。充実した福祉のために増税もありうるという国民の成熟度は高まってきた。高福祉高負担か低福祉低負担かを選ぶ。日本の民主主義の重要な岐路にあるのではないか。

高齢者医療 筋の通った見直しを  ―― 朝日新聞 2008.5.16 社説より

75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度をどのように見直すか。政府・与党の検討作業がようやく具体的になってきた。

その一環で、厚生労働省が全国の実務担当者を集め、どんな苦情が寄せられているのか、制度のどこに問題があるのかを聞いた。現場でお年寄りから直接、不満の声をぶつけられている人たちだ。

「説明しようにも、制度の詳しい中身を知らせてくるのが遅すぎて対応できない」
「負担を凍結したり、名前を変えたり、くるくる変わって混乱している」

出席者たちからは、準備不足のまま見切り発車した厚労省への怒りの声が噴出した。制度を抜本的に変えようというのに、いかに現場の事情に疎かったか、改めてあきれさせられる。

政府や与党の検討のなかで、焦点となっているのは、低所得者の保険料負担の軽減▽年金からの保険料天引きの見直し▽自治体が独自に実施していた人間ドックなどの助成事業の復活-などだ。

なかでも、所得の低い層で保険料負担の増えるケースが出てきたのは深刻な問題だ。保険制度の運営を都道府県単位の広域連合という新組織にしたため、これまで市区町村が独自に税金を投入して講じていた軽減措置がなくなった影響が大きい。

新制度では、保険料の未納が続くと保険証が取り上げられる罰則まで導入された。それを考えると、この点での手直しは急がねばならない。

市でもなければ県でもない広域連合というのも分かりにくい。窓口がどこなのか利用者には戸惑いがあるし、当事者意識に欠ける面はないか。組織のあり方や周知を考える必要がある。

その一方で、この制度に対する反発のあまりの強さから、とにかく負担を減らすか、先送りしさえすればいいという考え方には賛成できない。

サラリーマンの扶養家族になっているお年寄りの保険料凍結を延長しようという案は、その最たるものだ。

自営業の家族に扶養されている人は、これまでも国民健康保険の保険料を負担してきた。この不公平を再び認めるというのでは、新制度が目指した理念の根幹がゆがんでしまう。

不評であっても政府が説得を尽くすべき問題と、早く手直しすべき問題とを峻別すべきだ。

野党は近く、新制度の廃止法案を国会に提出するという。しかし、廃止した後にどうするのか。批判の強かった以前の老人保健制度に戻るだけというのでは、国民的な納得は得られまい。新制度の創設は、共産党を除く与野党の合意事項だったことを忘れてもらっては困る。

与野党の建設的な議論を期待する。

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