広島市中区の耳、鼻、喉の専門医、耳鼻咽喉科、内科、呼吸器科、アレルギー科

へその緒・胎盤から血液 臍帯血移植身近な治療に

へその緒・胎盤から血液 臍帯血移植身近な治療に

赤ちゃんのへその緒や胎盤にある血液(臍帯血-さいたいけつ)の移植を担う公的バンクの取り組みが国内で始まって15年。臍帯血には血液をつくる造血幹細胞が含まれ白血病患者らを救う治療として定着した。多くの幹細胞が必要な患者に複数の臍帯血を使う試みも出てきたが、バンクは経営難で基盤強化も求められている。

複数移植高まる効果

2006年秋、関西地方に住む40代の男性は勤務先の健康診断で貧血と診断された。赤血球中のヘモグロビンが正常値を少し下回っていた。

かかりつけ医に相談し、経過を見守っていたが、次第に頭痛や立ちくらみを感じるようになった。半年後の再検査で数値はさらに悪化。紹介された総合病院での精密検査で、血液のもとになる造血幹細胞の異常による「骨髄異形成症候群」と告げられた。血液のがんの一種で、急性白血病に進行する恐れがあった。 「少し死ぬ可能性が高くなっただけ」。不安は募ったがそう自分に言い聞かせた。

当初、総合病院で他人の骨髄を移植することを検討した。しかし白血球の遺伝子の型と適合する骨髄がなく、臍帯血移植の実績がある兵庫医大を紹介されたOそこで提案されたのが二つの臍帯血を移植する「複数移植」だった。
臍帯血は赤ちゃんのへその緒などから取るため、腰に針を刺して骨髄を採る骨髄移植のように提供者の負担はない。ただ、約1千㍉リットル近い骨髄を採る骨髄移植に比べ、一つの臍帯血は100㍉リットル未満と少なく、移植する造血幹細胞が多く必要な体重の重い患者は不向きだった。移植した細胞が血液をつくり出すようになる「生着」の割合も低いとされてきた。

こうした欠点を補うため少しでも多く細胞を移植しようと2002年に始まったのが複数移植だ。男性は体重が70㌔以上あり、同大血液内科の岡田昌也講師は「一つの臍帯血だけの移植では治療が難しかった」という。07年9月に入院。放射線をあててまず異常になった造血幹細胞をたたく前処置をし、10月に移植を受けた。高熱や吐き気に苦しんだが、1カ月後に無事に細胞が生者し年末に退院した。通常の臍帯血移植も約1カ月前に入院し、前処置を経て、生者すれば約2~3カ月後に退院できる。公的医療保険も適用される。
現在は症状が安定し月1回、経過観察で受診している。仕事は入院前から休職していたが、昨秋に復職した。

複数移植は国内ではまだ臨床研究中で、いくつかの大学病院でようやく約80例が行われ、効果を慎重に見極めている。東海大の加藤俊一教授(再生医療科)によると、病気が再発しやすい人に有効▽移植の副作用が商いなどの傾向がみられるという。臍帯血を二つ使う分、通常の移植より費用がかかることが普及に向けた課題だが、加藤さんは「今後も必要な患者には続けていきたい」と話す。

足りぬ資金運営に壁

移植に使う臍帯血の提供を担うのが臍帯血バンクだ。臍帯血を採取し、冷凍保存している。95年に神奈川に最初のバンクが設立され、99年には各バンクの連絡組織「日本さい帯血バンクネットワーク」 (http‥//www.j-cord.gr.jp/index.js)が発足。大学や日赤、ボランティア組織など母体の組織はまちまちだが、いまは北海道から福岡まで11のバンクがある。

移植件数も増えた099年の105件に対し09年は891件=グラフ。今年は6月までに500件を超えた。加藤教授は「複数移植などを除けば、一般的な治療方法になっている」と話す。
ネットのウェブサイトでは提供できる病院や移植を受けられる病院を紹介している。

だが、どのバンクも赤字体質だ。1回の提供で得られるのは「管理料」として診療報酬から医療機関を通じて支払われる17万4千円。一つの臍帯血の採取や保存は150万~200万円かかるとされる。国の補助金なには運営できず多くのバンクで医師らが無償で活動している。
「資金難のため事業継続は難しい」。3月に開かれたNPO法人宮城さい帯血バンク(仙台市)の臨時総会では悲観的な見通しが相次いだ。
同バンクの運営には、職員4人の人件費に加え、感染症などの各種検査費用を合わせた年間約3千万円が必要になる。しかし収入の大半を占める国からの補助金は約2千万円。寄付も集めているが、年間で約500万円の赤字が続き、2012年度以降の事業継続が危ぶまれている。

張替秀郎東北大教授(血液・免疫病学)は「このままでは東北地方からバンクがなくなってしまう」と話す。日本さい帯血バンクネットワークでは11バンクを集約化する検討も始まっている。それぞれが独自に運営する形態をやめ、日赤による一元的な運営にする構憩もある。だが厚生労働省の造血幹細胞移植委員会では将来への検討は全く進んでいない。
ネットは同省に診療報酬の増額も求めたが、今春の改定では据え置かれた。ネット会長の中林正雄愛育病院(東京都)院長は「臍帯血移植はすでに成熟した医療。診療報酬でバンクの運営ができる態勢にすべきだ」と訴える。

造血幹細胞移植

正常な血液をつくれなくなった患者に造血幹細胞が含まれる臍帯血や骨髄を移植して正常な血をつくれるようにする。
骨髄移植の場合は原則、HLAという白血球の遺伝子の六つの型がすベて一致しないと実施できないが、臍帯血では四つ以上一致すれば可能だ。
移植が有効な病気は白血病や再生不良性貧血、先天性免疫不全症、先天性代謝異常疾患。

-2010年8月26日朝日新聞より-

健康・医療のヒント

耳鼻咽喉科・内科・呼吸器科・アレルギー科 TEL 082-241-4187 月曜日午前中のみ 9:00~11:30
休診日 日曜日・祝日

健康・医療のヒント

PAGETOP
Copyright © 杉本クリニック All Rights Reserved.